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日本初、「固体発酵法」を実用化したオンリーワン企業 - 東海リソース株式会社
(2008年10月4日 18:25)

東海リソースは2005年に設立された、名古屋に本社を置く小さな会社である。そこが日本初のビジネスモデルを開発、全国から企業や行政、ベンチャー・キャピタルなどが、視察に訪れているという。興味を惹かれて、愛知県海部郡飛島村にある事業所に足を運んだ。

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日本初のバイオエタノール固体発酵プラントについて語る大田克己専務

大田克己専務に話を聞いた。同社は、食品製造業者より排出される食品残さから、燃料などに用いるバイオエタノールを製造し、同時に家畜用飼料と農業用肥料も製造するという、一石三鳥?!ものリサイクル・ビジネスモデルを開発した。

国内で初めて実用化に成功した「固体発酵法」とはどのようなものか?バイオエタノールは従来、液体発酵法で作られ、コストのかかる廃液処理が課題だった。対して固体発酵法では、高濃度の蒸留廃液を排出することなくエタノールが製造でき、しかも蒸留残さを殺菌乾燥させれば飼料・肥料になるという、低コストで低環境負荷の多段的高度再生利用が実現した。原料のバイオマスをうまく水分調整し、酵母や酵素剤を入れ、固体糖化・発酵させ、減圧蒸留すれば、エタノールと蒸留残さ(飼料・肥料)になるという流れだ。

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さまざまな種類の食品から実験的に生成された、香りの異なるエタノール

原料は、製造工程でカットされた廃棄部分のポテトチップスなど。家畜飼料は最終的に消費者の口に入るため、安全・安心にこだわり、生ゴミや遺伝子組み換え品などは使用せず、未利用の食品廃棄物系バイオマスを食品メーカーと連携して安定的に供給してもらっている。日本の家畜用穀物飼料の約9割が輸入品で、原料となるトウモロコシがバイオエタノール生産のため高騰し、畜産農家の経営を圧迫している。高機能飼料が国内で安価に量産されれば、畜産業界にとっては大きな救いとなる。しかも元手となる原料は、元来、廃棄されていたものだ。

同社では発酵、蒸留、乾燥に必要なエネルギーのカーボンオフセットとして、バイオエタノールボイラーを開発し、生成されたエタノールを化石燃料の代わりに使用している。これも日本初。まさに循環型のオリジナルプラントが誕生した。

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日本初の固体発酵オリジナル・プラント         ポテトチップスの食品残さから作られた飼料

固体発酵の技術そのものは、中国の白酒(パイチュー)をヒントに東京農業大学が開発していたが、原料は生ごみだった。そこで、食品残さを利用するよう、大田専務が熱心に働きかけ、産学協働でこの実用化にこぎつけた。同大研究室研究員で醸造学博士の本多宏明さんが、共同研究者として定期的に訪問。研究に没頭し、事務所で寝泊りすることもあるという。本多さんは、来春には正社員として働く予定だ。

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醸造学博士の本多宏明さん

東海リソースは、社団法人愛知県養豚協会食品残さ利用部会の有志等が集まり設立された会社で、県の「エコタウンプラン事業」に応募し、日本を先導するリサイクル技術や事業システムを持つ企業として、事業開始2008年度の補助対象事業者に選定された。

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食品残さからできた飼料の袋が並ぶ事業所2階。奥に事務所がある

現在のところ、一日に約5トンの食品残さから約2トンの飼料と、約380リットルのエタノールを製造する。本多さんらはさまざまな種類の食品残さで実験をくりかえし、高品質かつ効率化を追求する研究の日々を送る。大田専務は、「この製造方法をベストとは思っていない。一年後にはもっといいものができているはず」と胸を張り、将来展望を、「どこまでも農業にこだわり、机上論でなく実践論で、持続可能な循環型ビジネスモデルを構築していきたい」と語る。 

白衣に身を包んだ本多さんは言う。「寝る間がほんとうに、惜しいんです」。真に持続可能な社会に向かって歩む曇りのない眼差しに、日本の未来における一筋の光と、ベンチャー企業の底力を見た思いがした。

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(浜村良子)

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