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子どもたちにどう生きるかを問いかける ― アースキャラバン2008で全国を巡った高橋素晴さん
(2008年8月1日 09:00)

沖縄から北海道まで、全国各地で環境学校・出前授業を開催しながら、全国を縦断したアースキャラバン2008パナソニックキッズスクールの一環として行われたこのプロジェクトのローカルリーダーを、史上最年少の14歳で単独ヨット太平洋横断を成し遂げた高橋素晴さんが務めました。旅を終えた高橋さんに、全国の子どもたちとの触れ合いを通して感じたことや、未来に向けて取り組みたいことなどをお聞きしました。

アースキャラバン2008のスタートは、2008年4月5日。この日、沖縄県西表島に、12歳の時にリオの地球サミットで「この星をこれ以上壊さないでください」と訴える伝説のスピーチをした、カナダ在住の日系4世、セヴァン・カリス=スズキさんとともに、第1回目のスクールを行いました。以来、てんぷら油で走る「アースキャラバン号」に乗って旅を続け、洞爺湖サミットが開かれた札幌市に7月5日にゴールしました。

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――全国でずいぶん多くの出会いがあったようですね。

週末のスクールを11回、出前授業を22回行い、それ以外の出会いの場も含めて、45ヵ所で2900人以上の子どもたちと触れ合ってきました。毎回、地域でしかできないことを地域の人と組んでやってきました。行き詰った状況の下で、経済は限界になり、社会構造が変わる中、これからは地域が中心になっていきます。地域に生きる子どもたちがこれからのリーダーになっていくんです。そんな地域の子どもたちが自分たちの地域の魅力に気づく、いいきっかけになったと思います。

都会の子どもたちは知識はたくさんあり、感心しましたが、田舎の子に比べちょっと元気がなかったですね。田舎の子はのびのびしていました。でも、普段から体を使って全身で体験することが少ない子どもたちも、五感を使って、真剣に生きている大人たちに本気で触れ、深い自然に触れる体験をすることができました。

それぞれの地域には、自然とのつながりを大切にしたライフスタイルを実践する人たちがいました。しかし、一方で、自然とのつながりを断ち切ることで生じる様々な危機的状況も目撃してきました。埋め立て工事が進む沖縄の泡瀬干潟でもスクールを行いました。干潟が埋まるんだよという話は地元の泡瀬干潟を守る連絡会の人も話さずにスクールをしたんです。表に出したら、楽しくなくなってしまいますから。「これまで反対、反対と言ってきたが、子どもたちにはまず泡瀬を好きになってもらいたい。そのためには、干潟に入って楽しむことが大事だ」と言うんです。最後にそこが埋め立てられることを僕が伝えたら、子どもたちはとてもショックだったみたいです。

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アースキャラバン号と全国を巡った仲間たち=札幌市内で

――子どもたちに何を伝えたかったのですか。

スクールでは、体を動かす楽しい遊びから入りますが、それだけでは終わりません。自分たちの生活について問いかけ、これからどう生きていくか考えてもらいました。自然のめぐみはおいしかったり、楽しかったりします。それを直接楽しんだり、何かをつくってみたりすることで、環境問題も健康の問題も人生の楽しみも同時に解決できると思うんです。何を大切にし、どう生きるかが大切で、実際に自分が楽しんできた例を参考に、子どもたちにそれを感じてもらいました。大切な場所、もの、地域を持つことが大事で、そのためには自然の中で遊ぶことです。こういうメッセージはふだんの授業ではあまりないので、子どもたちには新鮮だったと思います。

――高橋さんは、これからどんなことに取り組んでいきたいですか。

14歳からアウトドアをしてきました。環境教育を意識したのは大学のころからです。大学を卒業してから2年半サラリーマンをしてきましたが、やりたいことをして生きていこうと、2年ほど前に会社を辞め、地域づくり系NPOでちょっと前から自然、文化、体験活動に取り組んできました。

一番やりたいことは今やっていることです。やりたいことは山ほどありますが、地域づくりをしながら生きるために必要な食べ物、家、ふだん必要なものなどをなるべき自分の力でつくっていきたいですね。家族、地域コミュニティなど、どれにもバランスよくかかわることが好きです。「生きていく原点を掘り下げていき、食べ物だけでなく、地域も社会もつくっていく。それが最低限の経済性を持って生きていく」というのが目標です。自給自足の仙人みたいな人にあこがれますが、今は仙人と社会の間に取り敢えず立っておこうと思っています。

鹿児島に帰ったら、自分の活動をしっかりやっていきたいですね。今、南薩摩市の坊津にさつま半島環境学校を立ち上げているところで、来春には開校の予定です。そこでは、まず塩を作ります。なるべく地域の人向けにやっていきたいので、これを収益の柱にするつもりです。それだけでなく、塩は人に必ず必要なもので、環境問題や食文化を考えるのにいい切り口になります。おいしい塩をつくるにはきれいな海でなければなりません。それは一人ひとりのライフスタイルともつながっているのです。

(安在尚人)

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