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大小のNGOのバランスがネットワーク成功のカギ ― ドイツNGOフォーラムのユルゲン・マイヤーさんに聞く(下)
(2008年7月19日 10:21)

環境と開発に関するドイツNGOフォーラムは、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットを契機にドイツ政府の協力の下で発足しました。代表のユルゲン・マイヤーさんへのインタビューでは、経験を基にした、NGOのネットワーク運営のコツも語ってもらいました。

―ドイツでも、多様なNGOをまとめるのは、難しいのではありませんか。

「NGOはたくさんあり、みんな違うオピニオン、価値観を持っています。それを一つにまとめ上げるのは難しいですね。でも、ネットワークをまとめる立場として言わせてもらえば、みんなバラバラというのではなく、一つにまとめたい。この場合、全体を一つにまとめようと考えてしまいがちですが、みんなが少しずつ歩み寄り、妥協点を探すというふうに考えた方がいいと思います。例えば、自然保護区をつくる際に、環境系のNGOは、先住民など地域に住む人たちの生活や文化を考慮せずに保護区の設定を主張し、それに対して開発協力系の人たちは先住民などの権利という視点から環境系のNGOを批判するという傾向がありました。今では環境系のNGOも地域の人たちと協議しないと保護区ができないことに気づいていますが…。リオの地球サミットで、NGOの人たちは、環境系の取り組みと開発系の取り組みが統合されていないと政府を批判していましたが、私たちも、同じことをしてきたのです。考えなければいけないのは、共通のメッセージです。日本のG8サミットNGOフォーラムの人たちも、環境系、開発系のメッセージをまとめあげるのは難しいと気づいたと思いますが、やはり(提言をまとめた)ポジションペーパーやシンポジウムなどでは共通のメッセージを発信することができるといいと思います」

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札幌で開かれた市民サミット2008のワークショップで発言
するユルゲン・マイヤーさん 

―NGOには、規模の面から見ても様々なグループがあります。

「ネットワークを運営するに当たって、大きなグループがリードすると、大きな会議を開き、有名な人、ビッグな人を呼ばなければ、と考えてしまいますが、そうなると、小さなグループは自分たちがセカンドクラスであるという感覚を持ち、別のところに行ってしまいます。同時に小さなグループが大きなグループをまとめ上げるのもうまくいきません。(生物多様性条約についての国際的なネットワークである)CBDアライアンスがうまくいかなかった理由は、小さなグループによって統治されていたからだと思います」 ―バランスが肝心ということですか。「すごく難しいことですが、そのバランスこそ成功のカギです。大きなNGO、小さなNGOは互いに利点と欠点があります。大きなNGOは、ネームバリューも人もお金もありますが、新しい突飛なアイディアは出にくいというきらいはあります。小さなNGOは、フットワークが軽く、柔軟で新しいアイディアが出やすいというよさがあります。ただし、小さいグループが注目を集めるのは、大きい組織の一員であると認められた時です。大きなNGOも小さなNGOとつながっていることが大事です。ネットワークに参加するうえで大切なのは、何かを犠牲にするのではなく利益を共有するという感覚を持つことです」

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市民サミット2008でアイヌの踊りを参加者とともに楽しむ
ユルゲン・マイヤーさん

―政治や社会に影響力を持つためにも、NGOが理解し合い、協力し合うことは必要ですね。

「NGOが発信するメッセージはシンプルである必要があります。政府にこれがNGOの考えていることです、というメッセージを伝える時、たくさんのNGOが、今週は、これが私たちのメッセージ、来週は、これが私たちのメッセージ、というように違うグループが違うメッセージを伝えていたら、政府はいつまでたっても真剣に聞こうとはしないでしょう。メディアだって同じです。ネットワークをうまく機能させようとして、妥協したものが、複雑になり、メッセージが10個になってしまったとすると、誰も理解できなくなってしまいます。専門家は分かるかもしれませんが、一般の人たちやメディアにとっては、心を打つものがないということになってしまうのです」

―ドイツでは、政府とNGOがとても密接に協力しているようですが…。

「ドイツには、公式NGOという仕組みがあります。これはドイツ以外でもありますが、環境省とタイアップして、お互いに情報を交換するシステムです。公式NGOは、応募したNGOの中から政府が選びます。この場合、公式NGOの中に影響力のある人がいることではなく、政府の中に耳を傾ける人がいることが大事なことです。そのために、対話の場を定期的に持ち、情報交換をして外部の力がどうなっているかを見せることが必要です。その際には、非難するのではなく、前に進めたいというメッセージを伝えることが大切です」

(安在尚人)

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