「Civil G8対話」(関連記事)の2日目の24日午後、世界約20カ国のNGO代表らが、G8(主要国首脳会議参加8ヵ国)のシェルパ(個人代表)*1と、今夏の洞爺湖サミットに向け、地球温暖化対策や最貧国支援について意見を交わしました。会合では、NGO側の問題提起に対し、シェルパ側は曖昧で抽象的な答えに終始、サミットへの課題の大きさを感じさせました。

各国のNGOメンバーが見守る中で行われたCivil G8 対話
■温暖化、貧困、食料危機…NGOが追求
洞爺湖サミットの最大の焦点とされる地球温暖化については、アメリカの環境NGO代表が「各国の自発的な取り組みが効果をあげているとは、言い難い状況ですが、地球の平均気温が4~5度も上がるような状況は絶対に避けなくてはいけません。44億人が水不足に苦しみ、世界の25~60%の人々が飢餓に苦しむことになります」と危機感をあらわに。「G8のこれまでの姿勢には失望している。もっと真剣に行動していかないといけません」と注文をつけました。また、WWFジャパンの鮎川ゆりか氏など日本の環境NGOは、温暖化ガス排出の中長期的な削減目標を日本政府が設定していないままであることを批判。「サミット議長国としての責任を果たして欲しい」と訴えました。
貧困・保険衛生問題では、「1日1ドル以下で暮らすような極度の貧困や飢餓の撲滅」、「全ての子どもが最低限必要な初等教育を受けられるようにする」、「HIV/エイズやマラリアなどの疾病の蔓延を防ぐ」など15項目の目標を2015年までに達成するという「ミレニアム開発目標」が、実際には全く実行に移されていないことを、アフリカのNGO代表らが指摘。「G8は約束を守る気があるのか?」と迫りました。
世界的な食料価格の高騰に関しては、バングラディッシュのNGO代表が「約10億人もの人々が危機に直面させられている。(穀物を原料とする)バイオ燃料のために、土地や水が奪われているが、人々が食べるはずの穀物を車のために使うことは、道義的な問題がある。バイオ燃料の生産・利用は一時停止するべきではないのか?」と追求しました。
■具体的対応策を語らないG8側
NGO側の批判に対し、G8側はいずれも質問に対し、直接答えることはせず、「約束は守る」「我々は前進していると思う」「最終的な目標はNGOの皆さんも我々も同じ」等と弁解するにとどまりました。その一方で、温暖化対策としての原子力発電の利用や、食料問題への対応として、人体や生態系への悪影響が懸念される遺伝子組み換え作物の利用拡大など、論議を呼びそうな提案もされました。

Civil G8 対話で発言する河野雅治・外務審議官
日本の中長期的な温室効果ガス削減の具体的な数値目標については、河野雅治・外務審議官は「実現可能な目標を定めるため、きちっと計算しなくてはならない。今はそうした作業中で答えられない」と発言。さらには「G8だけがやっても、世界中の国々が一緒にやらなければ効果がない」「MEM*2のようなブッシュ大統領の提案は非常に重要」と、先進国が温暖化防止の解決のために率先して行動していくという、この間の国際会議での合意をなし崩しにするかのような姿勢も垣間見られました。
■G8シェルパとの会合後の記者会見「今後も働きかけ続ける」
G8シェルパとの会合を終えたNGO代表らは記者会見を開き、「このままではサミットは失敗に終わるかもしれない」と強い危機感を示しました。一方で、「約束を反故にしないよう監視していくことが重要だ」「サミットまでの2ヵ月間、しっかり見守っていきたい」「イタリアのシェルパが来年のG8でも対話を続けたいと語ったのは評価できる。我々としても対話を続ける」との意見が相次ぎ、G8サミットに向け、より一層のNGO側による働きかけの重要性が確認されました。
(文・志葉玲/写真・志葉玲、安在尚人)
*1 G8とは、主要国首脳会議に参加するアメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、フランス、日本、ロシアの8ヵ国を指す。シェルパとは、首脳の指示を受けてサミットの事前調整を行う各国政府の責任者。
*2 MEM(主要排出国会議)とは、ブッシュ大統領の提唱による温暖化対策の国際会議で、拘束力のある削減目標ではなく、各国が自主的に目標を立て、削減努力を進めていくという手法が重視されるもの。しかし、「拘束力のない各国任せの目標では、実際の削減は無理」「これまでの国連主導で大幅削減を目指すプロセスを無視している」との批判も強い。
















