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環境にいいものは、安心・安全でおいしい-株式会社りんねしゃ社長 飯尾純市さん
(2008年6月5日 12:50)

愛知県津島市にある自然食品店「りんねしゃ」。1977年の創業以来、食や環境や暮らしに目をむけた経営を実践する、社長の飯尾純市さんにお話をうかがいました。

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                りんねしゃ社長  飯尾純市さん

りんねしゃは主に無添加パンや雑穀クラッカー、おからクッキーなどを製造・販売するほか、有機農産物、無添加食品、天然素材生活雑貨などの店頭小売や会員向け通信販売、卸売りなどの事業を手がけています。代表を務める飯尾さんは幼いときから虚弱体質で、食物アレルギーに加え化学物質過敏症であることも判明し、苦しい幼少時代を過ごしたといいます。

これまで食の安心・安全や家庭内農薬を減らすなど、消費者の観点からさまざまな商品を開発し社会に提供してきたりんねしゃ。その代表的なものに「菊花せんこう」という名の、無農薬栽培の除虫菊で作られた蚊遣り線香があります。

「大多数の蚊取り線香は、農薬いわゆる農業用殺虫剤と同じ成分で作られています。同じ農薬でも経口毒性と吸入毒性を比べると、吸入の方が約4倍も強いというデータがあり、野菜などの残留農薬を食べるよりも吸い込むほうが人体への影響が大きいのです」

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                  会社敷地内のプランターに植えられた除虫菊の花

除虫菊は、明治時代の北海道で生産量世界一を誇っていたそうですが、安価な化学合成殺虫成分配合の蚊取り線香の出現で栽培は壊滅。飯尾さんは当初、北海道での栽培を試みましたが、土地も生産者も見つからず、残留孤児の方と交流のあった中国で生産することに。完全無農薬の除虫草・除虫菊の栽培をはじめました。今では北海道でも国産除虫菊の復活を目指し土地を手に入れて栽培に取り組んでいます。

「販売利益を得ることを最終目的として出発するのではなく、家庭内農薬を減らす『運動』としてスタート。商品ありきでなくて、なぜその商品が必要なのかを問う。これがりんねしゃの仕事のしかた」とおっしゃいます。

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りんねしゃの「菊花せんこう」は無着色、ハーブを配合しているので香りもいい。他社のみどり色は、染料の色。

さらに、話は将来の事業化を見据え、生産者や教育機関や行政といまだ研究中の段階という『新しい畜産』の話題に。「今後日本のあらゆるところで生物多様性が重要になってきます。これからの畜産では、『里山』という言葉が新しいキャッチフレーズになるでしょう。自然環境を守り、畜産生態系のバランスを崩さないことが大切」と。永年勉強会を重ねる中で見えてきた日本の畜産の姿について、わかりやすく解説してくださいました。

「日本の乳牛畜産の現状はアメリカの穀物メジャー企業と密接に関わっており、アメリカからの穀物輸入が畜産政策の前提になっています。この穀物で作られた飼料で、日本の乳牛は飼育されています。生産者の経済を左右する乳価は農水省が決定し、自由市場にはなっていません。乳価決定の基準となる乳質は乳脂肪が高いほどよいとされており、アメリカ産穀物でできた飼料で育った牛のミルクは乳脂肪が高いとされています。一方、牧草を食べ自由に放牧された牛のミルクの乳脂肪は低いが、さらっとしておいしい。しかしながら、乳価は低く抑えられてしまう」

この現状を「行政と農協と畜産農家がこのシステムの中で金縛りにあっている状態。日本が敗戦国となってしまったことによる負の遺産が、自由がきかないこのシステムの根幹となっている」とも。

「数年前、牛乳が余剰生産となり、飼料代が払えず飼育できなくなった畜産農家の多くはやむなく乳牛を処分してしまいました。乳牛は出産してからでないと搾乳できず、それまで時間がかかります。結果、今期は牛乳が不足してバターにまで回せなくなり、バターが店頭から消えた。これは明らかに農業政策の誤りです。牛も環境の中の生命体。畜産を行政任せにしないことが大切です」

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それでも明るい口調でおっしゃいます。「最近、やっと入り口がみえてきました。行政、生産者、流通業者、消費者などそれぞれの団体が話しあいの場についてもいいと言うようになったのです。今では皆、自分に都合のいい経済論理を動物に押し付けてはいけない、という気持ちで一致しています」人と動物と自然の関係をみつめ直し、持続可能な循環型畜産をめざす飯尾さん。「環境にいいものは、安全・安心でおいしい。環境のことを考えていない人は、本当においしいものを作ることはできません」

お子様は全部で6人。ご長男とはまるで兄弟のよう。「子どもは大自然の中で自給自足できるようにたくましく育てました。田植えや稲刈り、山菜取り、まき割り、水汲みなどの、飯尾流エリート教育。人間も多様性がいいですねえ」と、国内、そして海外を元気に駆け回ります。

(浜村良子)

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