住宅の平均寿命は25年から30年だといわれる日本において、丈夫で長持ちする住宅には「100年住宅」という言葉が使われてきた。そして近年では、廃棄物問題の深刻化などを受けて「つくっては壊す」というフロー消費型の社会から「いいものをつくり、きちんと手入れをして長く大切に使う」というストック型社会への転換が急務とされ、「超長期に渡って循環利用できる質の高い住宅=200年住宅」を目指すべきとする政策が進められている。これは良質で資産価値のある家づくりを促進し、世代を超えてより豊かな社会づくりを目指すものでもある。
こうした背景の中、NPO法人「木曽三川の山の木で家をつくる会」の脇田絖造さんは、日本の住宅本来の姿で、木の良さを活かした「現し木造」住宅の普及を訴えている。

NPO法人「木曽三川の山の木で家をつくる会」 脇田絖造さん
「現し木造」とは柱や梁などの構造材が見える状態のことで、壁は柱の内側に納める「真壁仕様」。無垢材を使うことが多く、目に触れる分、仕上げの美しさなどに手間をかける必要があるが、日本の住宅は本来このような「現し木造」で建てられていた。
これに対し、木材を全て隠してしまうのが「大壁仕様」で、洋室などには基本的にこの方法が用いられる。構造材には集成材が使われることが多く、無垢材に比べて扱いやすいうえ、「大壁仕様」ならクロスを貼って仕上げを短縮することもできるので、作業工程を簡略化できコストダウンがしやすい。「最近の日本の木造住宅には、この“隠し木造”が多い。ただ木を使っているだけで、木が持つ力や良さを活かそうとはしていない」と、脇田さんはいう。
「木は、保温性や調湿性といった機能を備えている。乾燥させると強度を増し、シロアリなどの害虫や腐朽に強い素材となる。そして自然素材ならではの優しさやぬくもりを備え、人の五感に心地よさを与えてくれる。このような木の能力を引き出そうとするのが、本来の使い方」と語る脇田さん。「コスト面だけ優先されて名ばかりの木造住宅が増えた結果、日本の住宅の質が低下した」ともいう。
2008年5月18日(日)、愛知芸術文化センター12階アートスペースで開かれた「木の家づくり講座」では、まず「現し木造」と「隠し木造」について触れ、その後、山の木が製材品となり住宅の骨組みになるまでの工程や、「現し木造」の家づくりのコストに関するレクチャーが行われた。参加者からは、素材選びや木の値段、木造住宅の耐震性などさまざまな質問や疑問が寄せられ、講師もそれに応えるべく、参加者の声に耳を傾け熱心にアドバイスをする場面が数多く見かけられた。
(鶴丸美穂)
















