木造都市の夜明け トップ
今、木を使い家をつくることの意味 - 近山スクール代表・藤岡伸子さん
(2008年5月14日 14:12)

日本の住宅は元来、山の木を使い、大工や左官など職人の手で造られてきた。しかしこれまでは建築基準法による規制や消費者のニーズの変化などもあり、昔ながらの伝統構法を用いた木の家づくりは減少しつつあった。

「木を使うこと」は人工林を活用して森の土壌を強くし、周辺流域に住む人々を土砂災害などから守ることになる。そして「木で家をつくること」は、日本の伝統構法を見直し、尚且つ今後の建築のありかたを探るものでもある。
「建築家や設計士、工務店だけでなく家を建てたい一般の人まで、山と木、そして木造住宅への理解を深めてほしい」と語るのは、「近くの山の木で家をつくるスクール(近山スクール)名古屋」代表の藤岡伸子さんだ。

 portrait 
                           藤岡伸子さん  名古屋工業大学内の研究室にて

-近山スクールとは

木造住宅の設計、施工、林業などにかかわる人、またはそれらを志す人を対象に「木と木造」に関する学びの場を設けている。各界で活躍する専門家たちを講師に招き、設立から6年目を迎える今年度は、左官の仕事現場や森林伐採などのフィールドワークや木構法に関する講義を充実させている。一般公開講座も用意しているので、普段かかわることの少ない消費者と建築の専門家が交流するきっかけにもなればと思っている。

-木造住宅を推進するための課題

近年では家づくりにこだわる消費者が増え、自然素材を使い日本の伝統構法で建てる住宅への関心が高まってきている。しかし消費者が望んでも、実際にはその技術やノウハウを持つ建築家や設計士が少ないのが現状。これは、もともと建築は西洋的なものであり、大学でも日本の木造住宅を学ぶカリキュラムが設けられてこなかったためだ。
一方で、昔ながらの工務店には豊富な経験と確かな技術を持つ大工や左官職人がいるが、建築の構造的な部分に関しては論理的な説明ができないこともあり、その結果消費者へ不信感を与えてしまう場合もある。こうした問題を解決するためにも、伝統構法への理解が必要だと考えている。

また木造住宅の耐震性を問われることがあるが、そもそも耐震とは壁や柱の強度だけではなく、建物全体の構造で計るもの。地震に耐える耐力壁と軸組み、床、そしてそれらをつなぐ接合部をバランスよく選択し、配置して組み立てることが重要だ。
鉄骨と比較してしまえば木は非常に軽く柔らかい素材だが、伝統構法で組むことにより衝撃に柔らかく耐え、建物を粘り強く支えることが可能になる。これは実験でも証明済みで、建築基準法でも自然素材の柱や梁が構造材として認められるようになった。
それでも消費者にしてみれば、木の色合いや木目などのバラつき、気候によって反ったり縮んだりする木の性質がなどが気になることもあるようだが、それも自然素材の特徴として受け入れてほしい。建築にかかわる者と消費者双方の意識改革にも努めたい。

当スクールでも、実際には「理想はあるが、なかなか実行に移せない」という建築家や設計士、工務店が少なくないが、木と木造住宅の技術は、建築にかかわる者にとって共有の財産。日本の大切な伝統や文化を共有するという意識を持ちながら、家づくりに取り組んでほしい。

-ありがとうございました

(鶴丸美穂)

<近くの山の木で家をつくるスクール名古屋 2008> 受講者募集中
詳細・申し込み→http://204.202.9.21/~gree8679/green-arch.or.jp/school_chikayama_nagoya_annai_2008.html

<新盛里山耕流塾 森の暮らし in足助>
里山住民と都市住民が共同作業を行いながら、里山住民のありのままの暮らしを体験し、絆を深め合う「里山耕流塾」。今回は「森の暮らし」と題し、山の手入れを中心とした里山暮らしの技や知恵を身につける。
詳細・申し込み→http://www.arpak-cdc.co.jp/topicks/t-7.htm

コメント

コメントする

(コメントは承認された方のみ表示されます)

トラックバックURL

トラックバック

MAP