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自然の恵みを活かす木造建築 - OMソーラーの「地球のたまご」
(2008年5月10日 09:19)

静岡県浜松市の浜名湖畔に建ち、豊かな自然に囲まれたOMソーラー協会本部の呼び名は「地球のたまご」。環境と共生する技術を次々と孵化させていこう、そんな思いから名づけられた社屋であり、太陽熱による除湿涼房の試みや新素材・太陽電池の活用など実験的な取り組みを行う研究所だ。

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33000平方メートルの敷地は、もともと養鰻池だった場所を埋め立てたもので、何もない土地に社員自ら木の実を蒔き、自生の植物を移植したりしながら、現在のような状態にまで育てたとのこと。
またここには湿地や池があり、虫や蟹、魚などの生き物も見かけられるそう。敷地内には水質浄化池や浄化槽などが設けられ、この生態系を守るための環境が整備されている。

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                自然光が心地よい2階部分

「地球のたまご」は地元で育った天竜杉を用いた低層の木造建築で、廊下に沿って社員の仕事場や会議室などが並ぶ様子は、まるで学校の教室のよう。ここは小中学生たちが理科の実験や環境学習のために利用するほか、見学のために遠方から足を運ぶ人も多いのだとか。

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                見学者の学習用スペースが充実

OMソーラーの家づくりを語るうえで欠かせないのは“パッシブ(受動的)”という考えかた。地球に降り注ぐ暖かい太陽の日差しや、心地よく吹いている風など、自然が与えてくれるものを「そのまま、無駄なくいただく」こと。OMソーラーのしくみは、このコンセプトをふまえて建築的な方法や工夫によって太陽エネルギーを利用する「パッシブソーラーシステム」に基づくものだ。

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         外気が出入するダクトと、外気の流れを把握できるモニター

屋根で太陽の熱を集めて床下へ送り蓄熱するシステムで、熱を運ぶ空気の性質を利用し、軒先から外気を取り入れて太陽熱で温め、その空気を床下へ運び部屋の中に取り込む。そうして家の中を暖かく保ちながら、熱とともに空気が循環するため、暖房と同時に換気もできるのが特長だ。
夏場なら日中に屋根を昇ってきた熱い空気でお湯採りをして、夜は屋根が夜空によって冷やされる放射冷却というしくみを使い、冷えた空気を室内に取り込む。このようにして家の中は一年を通じて快適な温熱環境が保たれる。
単純にソーラーパネルや暖房器具などを設置するのではなく、太陽熱や空気を利用することを設計の段階から考えるのがOMソーラーの家づくり。それだけでなく家の大きさや仕様に地域の気象データを加え、住まいの温熱環境を予測したうえで設計している。

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                     村田昌樹さん

「以前は国道沿いにあるコンクリートのオフィスで、エアコンは年中かけっぱなし。そんな中で仕事をしていた。今は窓から木々の成長や浜名湖まで眺めることができるし、心身にとってよい環境だ。他の会社の人から羨ましがられることもある」と語るのは、OMソーラー協会事業部部長の村田昌樹さん。村田さんはここで見学者のガイドを務めながら環境への取り組みをアピールしつつ、OMソーラーのコンセプトを伝える術はないか思案しているという。

「冬はストーブなどを使わず太陽の熱を利用して暖かく過ごす。夏はエアコンを使わず気持のよい風を取り入れる工夫をする。OMソーラーでは、そんな風に自然と上手に付き合いながら心地よく暮らせる家づくりを目指している。
単純に木材を使えば快適な家づくりができる、というわけではなく、もっと自然エネルギーを建築の中に活かす考え方や技術を用いることで、本当の心地よさを感じられるはず。このOMソーラーのコンセプトや住まいに対する価値観を、多くの人に伝えていきたい」(村田さん)

(鶴丸美穂)

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