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私たちにとって森林とは-緑の列島ネットワーク 大江忍さんに聞く
(2008年5月8日 22:51)

日本は世界的にみても森林の占める割合が多い国。中でも材木を供給するために育てた人工林が多いのが特徴だ。
しかし近年は海外から輸入した安い木材の普及にともない国産材の利用が減少し、日本の山の木が活用されなくなってしまった。国産材の価格は下がり、林業で収益を上げることができなくなった人々は山を手放し、その結果、手入れされず荒れ果てた状態の森林が増えていった。
このような日本の森林の現状を、私たちはどのように受け止めたらよいのだろう。NPO法人緑の列島ネットワーク代表の大江忍さんにお話をうかがった。

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                        大江忍さん

-森林はどのように成り立っているのか

森林には本来ひとつの経済システムがある。それは例えば全体のうち一部の木を伐採して売った収益を残りの部分の管理費にあて、伐採した部分には再び木を植え育てる、といったものだ。木は植えてから成長するまで50年ほどかかる。山の持ち主はそれまで間伐など山の手入れをしながら暮らし、次の50年が来るのを待つ。そんなサイクルで林業は存続できていた。
木を切るのは50年に一度で済むわけだが、さらに次の50年を待つためには、木を売った分の収益で他の部分をまかなえるようでなければいけない。戦後すぐは林業が活発で木の売れ行きがよい時代もあったが、今の日本の木は、長い年月をかけても二束三文の価値にしかなっていない。

-今の日本の森林をどのように見るか

近年では間伐材の利用がさかんに勧められているが、私は間伐材の使い道を考えるより、まず国産材そのものの使い道を考えるべきだと思っている。間伐材は「もったいないから利用するもの」だと思われがちだが、本来は良質な木を育てるために成長の悪い木を間引いたものだから、その間伐材よりも、今、成長して森を形作っている木を積極的に使うことのほうが大切だ。

だが肝心の国産材の価格は販売できる金額にまで到達しておらず、売りたくても売れないし、流通できない状況にある。木を売った収益がなければ森林を管理することができないし、林業者の生活も成り立たない。
国や県が税金で管理している森林はいいが、民間で所有するものに関しては収入や後継者不足の問題もあり、ほとんどが手入れできずに放置されてしまっている。
とにかく、国全体が「もっと国産材を使おう」という方針にでもしないかぎり、こうした日本の森林の現状は改善できない。このままでは日本の林業は確実に衰退し、森は荒れ果てていく一方だ。

森林が畑のように収穫を得られるものであれば、農協のように管理して販売ルートを作り林業を保護するシステムを作ることも可能なのかもしれないが、残念ながら、今の森林組合にはその力がないように思う。それはつまり林野庁自体に力がない、ということなのかもしれない。
日本は緑豊かな森林王国のはずなのに、木材の自給率が低い。それは今の食料事情と同様、経済産業省などが輸入にばかり力を入れて、国内との経済バランスを考えなかった結果ではないだろうか。

また、木は単なる建築材料として存在しているのではなく、空気をつくり水をきれいにし、保水して土砂崩れなどの自然災害を防ぐといった役目を持っている。木や森について考えることは、林業だけでなく、これからの農業やダム、土木行政について考える上でも必要なことだ。はっきり言って民間で森を管理するには限界があるので、ある意味ひとつの産業を興せるくらい、国が資金を出して森林を管理する仕組みがあってもいいと思う。

ちなみに豊田市では全国で初めて強制間伐の条例を出しており、私たちもこの取り組みに協力している。どこまでできるかわからないが、今後、この活動がひとつのモデルケースとなるよう、力を注いでいきたいと思っている。

-ありがとうございました

(鶴丸美穂)

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