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木造都市の実現は教育から - 建築家・高松伸さん
(2008年2月20日 12:23)

建築家で京都大学教授の高松伸さんは、2003年に「木造都市の設計技術」(共著・コロナ社)で、「木造都市」という言葉を初めて提唱しました。2008年夏には、名古屋市内に木造ビルが完成の予定です。

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――なぜ、木造都市なのですか?

出雲大社が原点です。私は島根県生まれなので、建築家になる前から出雲大社に強く魅かれていました。もうひとつは、哲学者の梅原猛先生が言われた「京都は森林都市だ」という言葉です。このふたつを手がかりに、40歳の頃、「京都市コンサートホール」のコンペに木造で提案しました。見事に落選しましたが(笑)。

その後、当時の愛知県蒲郡市の市長から、子どもたちが木に触れることのできる建築「蒲郡情報ネットワークセンター」の設計を依頼されました。その後しばらくして、大阪府の能勢妙見山に建つ、信徒のための修験場「能勢妙見山信徒会館」を依頼され、御神木を構造体として生かし続ける提案をしました。建設途中で阪神・淡路大震災があったのですが、ビクともしなかった。地震が自信につながりました(笑)。木造にのめり込んだのはそれからのことです。

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          高松さんが設計した木造建築の模型 

森林都市京都の公共建築物は木造であるべきだと思っています。東大寺の大仏殿を再建した重源(ちょうげん)という僧侶にも興味を持ちました。彼は、日本最初の建築家だったと思っています。それも60歳を過ぎてから、偉業を成し遂げました。極めて先進的な大規模木造テクノロジーを完成させたのです。今で言うプレハブ構法でした。その重源の偉業を思うと、今の私達に大規模木造建築ができないはずがないと確信しています。

――木造都市の実現には、何が問題なのでしょうか?

政治や経済などいろいろ問題がありますが、基本的には日本の森林の問題です。まるごと木造の都市を幾つか造るくらいのイメージで国内の木材を大量に使う必要があります。「木造革命」(リヨン社)で、船瀬俊介さんは本当に造れと言っていますが、私の言う「木造都市」は「イメージ」です。クライアントから依頼を受けた際に、建築家ひとりひとりが「木造都市」をイメージしながら建築を設計することが重要です。それも可能な限り木造で設計する。そのひとつひとつの積み重ねがいつのまにか「木造都市」への道を拓きます。その時はいきなり来ると思いますね。木造建築にチャレンジする若い建築家が増えてきましたから、大いに楽しみです。

――丸美産業の本社ビルは?

100年住宅を造りたいという嶺木社長の情熱に共感しました。老朽化した本社ビルを補修すると聞き、この際丸美の思想を体現する建築を新築してはどうかと提案し、受け入れていただきました。日本初の大規模な木造ハイブリッドビルです。法律の問題などで何度も断念しそうになりましたが、嶺木社長はまったく動じませんでした。素晴らしい人です。

go08021904                           丸美産業の木造本社ビル完成予想図

――木造都市が実現する条件は何ですか?

教育です。大学に木造建築学科を創るべきです。木造都市実現のためにグッドニュース・ジャパンで火を点けてください。どこでも飛んで行きますから。

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――高松さんはロマンチックな人です。子どものように目を輝かせて夢を語ります。その視線の先には、木造都市の姿がはっきりと見えているようです。

高松伸建築設計事務所:http://www.takamatsu.co.jp/

(聞き手/安在尚人  写真/伊藤剛)

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