生物多様性COP10 http://goodnews-japan.net/news/cop10 生物多様性COP10 Sat, 21 Mar 2009 13:22:02 +0000 http://wordpress.org/?v=wordpress-mu-1.2.5 en 沈みゆく国・ツバルの子の想い知って ― 「宇宙船地球号」の山本敏晴さんが名古屋で講演 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/21/534 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/21/534#comments Sat, 21 Mar 2009 13:22:02 +0000 aichikyu http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/21/534 「あなたの大切なものは何ですか?」という問いかけで始まる本がある。タイトルは、『地球温暖化、しずみゆく楽園・ツバル』。平均海抜が1メートルというこの国では、地球温暖化のため海面が年々上昇し、浸水の被害が深刻となっている。ツバルの現状から環境問題を考えてもらおうと、同書の著者でNPO法人「宇宙船地球号」事務局長・山本敏晴さんの講演会が2009年3月14日(土)、名古屋市中区の男女平等参画推進センター(つながれっとNAGOYA)で開かれた。

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 ツバルについて語るNPO法人宇宙船地球号事務局長の山本敏晴さん 

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)のパートナーシップ事業。講演に先立ち、同法人が製作した映画『ツバル 大切なものに導かれて(Pictures of TUVALU)』が上映された。
医師、写真家、NPO事務局長など、多彩な顔を持つ山本さん。医療援助団体から派遣され、アフリカや中東の紛争地帯などで緊急医療援助活動を行ってきた。その現場で、「未来に残る意味のある援助をしたい」と願い、「本当に意味のある国際協力とは何か?」「持続可能な世界を作る方法とは?」という疑問を胸に立ち上げたのが、NPO法人宇宙船地球号だ。

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    講演に先立って沈みゆく国、ツバルについての映画が上映された

 世界中の子供たちに大切なものの絵を描いてもらう目的で各学校をめぐる同NPOの『お絵かきイベント』は、ツバルをはじめ50カ国以上で行われている。平均的にみて、家族の次に家、宗教関係、愛情・友情、自分の国・国旗で約9割、残りの1割の子供たちは、その国にしかない特徴的なものを描くという。お絵かき後に子どもたちの家族を戸別訪問し、両親の仕事や家庭環境も含め、なぜその子がそれを大切だと思うようになったかをきちんと取材するそうだ。

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  9つの島と美しい海でできた国、ツバル

サンゴ礁でできたわっかのような形の国、ツバルの海は、「私がこれまで訪れた70カ国以上の中で、最も美しい」と山本さんは言う。子どもたちの描いた絵―。「わたしの大切なものは、ツバルの美しい砂浜だわ」「ツバルの美しい夕暮れだよ」「人々のつながりよ」「学校です」「水」・・・ツバルでは雨水が飲み水となっている。そして13歳のマルアオ君が描いたのは、体温計がささった地球。上部に煙をはく工場、下部に沈みゆく船が描かれている。添えられた文字は、「ボクの夢は、地球がもっとよくなることだよ」。

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    「大切なものはなに?」に応えて、ツバルの子どもたちの描いた絵

ツバルは地盤が柔らかく、低気圧による高潮現象で砂浜が削られるため、今では椰子の木が一日に1本ずつ倒れているという。「将来、沈んでしまうのが怖い」という絵を描いた子もいる。海面上昇はひとごとではない。このまま温暖化が進めば、日本でも沈むところが出てくると、山本さんは警鐘を鳴らす。日本は温暖化の加害者であるとともに、被害者にもなりうるというのだ。また、ツバルで海面上昇とともに近年深刻な問題となっているのが、ゴミ問題だ。先進国から持ち込まれた多くの製品が、使用後にゴミとなって捨てられたままになっている。

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  ツバルではゴミ問題も深刻化している

では、遠く離れた私たちに、何かできることはあるのだろうか? 水や電気の節約はなおのこと、環境に配慮した企業や工場を支援すること。CSR(企業の社会的責任)を実行している企業の商品を買うことで、消費者がいい企業を育てることができると、山本さんは提案する。学校を回り、「将来、会社に入ったら、環境にいいことをしてね」「消費者になったら、環境にいいものを買ってね」と子どもたちに呼びかけている。「愛情の反対側にあるのは、憎しみではなく無関心です。無関心でいることは、未来に生まれてくる100億の子供たちを見殺しにするのと同じことなのです」という言葉に、ツバルの子らの、未来を信じて疑わない一途な瞳が重なった。

(浜村良子)

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《シリーズ生物多様性・研究前線4》「死海の藍藻」は世界の食を救うか-名城大学総合学術研究科教授・高倍昭洋さん http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/18/533 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/18/533#comments Tue, 17 Mar 2009 16:24:23 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/18/533  「生物多様性って、まず言葉がワカラン」とよく聞かされる。地球温暖化に比べて肌で実感しにくいからだろう。で、今回のテーマは「遺伝子」。生物多様性に遺伝子じゃさらにワカラン? そうかもしれない。かもしれないけれど、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)でも主要議題の一つとなる、避けて通れないテーマだ。できるだけ身近な問題として理解するために、名城大学総合学術研究科教授の高倍(たかべ)昭洋さん(63)を訪ねた。

 ■塩害に強い植物追究
 名古屋市東部の山の手に位置する名城大。普段は比較的静かなこのキャンパスは、毎年秋になるとマスコミ各社の「張り込み」が恒例行事となる。カーボンナノチューブを発見した飯島澄男さん、青色発光ダイオードを実用化した赤崎勇さんという2人の教授がノーベル賞候補として名前を挙げられ続けているからだ。2008年の「ノーベル賞ラッシュ」にわいたのは名古屋大だが、あの狂想曲が3キロと離れていないこの大学で繰り返されるなんてことも、まったくの夢物語ではない。

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 遺伝子組み換え作物を研究する高倍さん。手にしたフラスコに「死海の藍藻」が

 そんなキャンパスの一画で、高倍さんは30年来、地道な研究を続けている。遺伝子工学による植物の品種改良がテーマだ。
 「最近も食糧危機が世界的に叫ばれたように、食糧の増産は人類全体の課題。戦前までは農耕地の拡大で対応できましたが、土地には限界があります。戦後、少ない肥料でもよく育つ生産性の高いイネなどが開発されて『緑の革命』とも呼ばれました。これをさらに過酷な土地でも生育する品種に改良し、食糧はもちろん環境やエネルギー問題の解決に役立てよう、というのが私たちの研究の目的です」
 身なりや手にした資料の作り方から、いかにも几帳面そうな高倍さんは、自らの研究テーマを大きな歴史的背景から丁寧に説き起こしてくれた。
 兵庫・淡路島生まれで実家は農家。物心ついたときから田畑に囲まれ、海も近く、小舟に乗ってちょっとした漁にも出ていたのだという。
 研究者を目指して大阪大、名古屋大大学院へ。理学系でも自然や生物に関心を持ち続け、植物のメカニズムを分子や原子レベルで研究。名城大に移ってからは当時まだよく知られていなかった植物の遺伝子組み換え技術に目を付けた。
 そこで選んだフィールドが、何と「死海」。大人がぷかりと浮いて新聞を読んでいるようなイメージで知られる、あの中東の湖だ。
 その名の通り、ほとんどの生物は生きていられない。塩分濃度は海水の10倍近く。普通の植物なら、まさに“塩漬け”状態でしなびてしまう。それでもどっこい生きているのが、バクテリアの一種である藍藻(らんそう)類なのだという。
 過酷な環境で彼らはいかに生き抜くのか。高倍さんは遺伝子レベルで研究を重ね、ついに細胞の脱水や塩分の侵入を防ぐアミノ酸類似物質「ベタイン」をつくる遺伝子を突き止めた。それを遺伝子組み換え技術で淡水性の藍藻に組み込んだところ、海水でも生き延びることを確認。さらにナズナなどの植物に組み込むと、乾燥や高温、酸化などにも強くなることがわかった。4年ほどの前のことだ。
 現在、妻で名古屋大大学院生命農学研究科教授の鉄子さんと島津製作所との共同研究で、この遺伝子のゲノム解析をほぼ終えている。また別の共同研究では、イネの遺伝子に組み入れれば種子の生産量、デンプンの含有量、糖の含有量がともに約1.5倍に増加する効果を確認した。サトウキビなどにも応用すれば、バイオエタノールの原料としてさらに有用になるという画期的な研究成果だ。

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 「死海の藍藻」の遺伝子を組み込んだイネ(右)。野生種(左)と比べて大きく成長している

 「本当に面白い遺伝子なんですよ」
 研究室の保管庫にある緑色のフラスコを愛おしそうにながめて、高倍さんは言った。20年ほど前にイギリス人研究者から入手して以来、2カ月に1回の培養を延々と繰り返している死海の藍藻。その育て方は非常に難しいらしく、世界中の研究者が高倍さんのサンプルを必要としてくるのだという。

 ■新たな「南北問題」
 このこと自体が「遺伝子の多様性」を物語っている。生物は同じ種であっても、遺伝的に多様であることで環境の変化に対応し、絶滅を免れる。それはさまざまな「人種」が存在する人類もまた例外ではないといえるだろう。
 ただ、その多様性を人工的につくり出してもいいのだろうか。言うまでもなく、遺伝子組み換え技術に対しては、世界中で賛否両論が渦巻いている。
 人体や環境に及ぼす影響が懸念され、反対運動は根強い。一方で技術としてはすでに確立され、大豆やトウモロコシ、ナタネなど、今や遺伝子組み換え抜きではその流通が考えられない作物も少なくない。組み換え作物に寛容なアメリカはもちろん、国内農業保護のため導入を拒否してきたヨーロッパでも、作付面積は年々増加している。
 この現実にどう向き合うべきだろうか。
 実は遺伝子組み換え作物の輸出入は、生物多様性条約の枠組みのなかで議論された「カルタヘナ議定書」という国際的なルールによって規制されている。遺伝子組み換え作物が生物多様性に影響を及ぼす可能性があることを前提として、輸出国側が安全性などの情報を開示し、輸入国側の合意を得ることなどを定めているのだ。
 しかし、この議定書には世界一の輸出国であるアメリカが参加していない。背景にはブラジルやアフリカ諸国などの反発がある。豊富な「遺伝資源」そのものは自然に恵まれた途上国側にあるのに、遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーによる経済的な利益は先進国側が享受してしまうという不平等感。
 新たな「南北問題」ともいえるこの対立の解消を、議定書では「責任と救済」という考え方で損害賠償制度にまで具体化する方針が示されている。だが各国の主張はすれ違ったまま、この制度を盛り込んだ条項はいまだ合意に至っていない。
 論争の決着は「ナゴヤ」に持ち越される。
 「生物多様性というと森や動物を守るということに関心が向きがちですが、COP10ではこうした最新の遺伝子研究のあり方も議論になります。日本は遺伝子組み換え技術に対して非常に慎重ですが、世界の現実を知るという意味で、会議が開かれること自体が重要だと思っています」
 高倍さんの藍藻が世界を救う“奇跡の藍藻”となり得るか、それとも国際政治の荒波にのみこまれてしまうのか。
 COP10の議論の行方を、高倍さんは地元で固唾をのんで見守ることになる。

 (関口威人

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父・手塚治虫の環境メッセージ受け止めて-手塚るみ子さんら迎え名古屋JCライブ&トーク http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/12/532 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/12/532#comments Thu, 12 Mar 2009 00:35:16 +0000 aichikyu http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/12/532  名古屋青年会議所は、環境を考える上で地球温暖化と並んで重要なキーワードである「生物多様性」について、頭だけでなく感性に訴えてわかりやすく市民に伝えようと、トーク&ライブやパネルディスカッションを企画。2009年3月10日(火)に行われた3月例会で、なごや環境大学と共催の形でイベント「地球のいのち、つないでいこう」を開催した。会場となった名古屋市中区の伏見ライフプラザでは、会員と一般市民、約500人が歌手の藤田恵美さんのコンサートやプランニング・プロデューサーの手塚るみ子さんらのトークを楽しみながら、生物多様性についての理解を深めた。

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     開会のあいさつをする名古屋青年会議所の木村浩樹理事長

 開会のあいさつで木村浩樹理事長は、2005年に地元で開催された愛・地球博や、2010年に愛知・名古屋で開催されるCOP10に言及し、この例会を「生物多様性を五感で感じられる機会にしたい」と述べた。

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      手塚るみ子さん                 藤田恵美さん

 第一部では、元ル・クプルのボーカリストである藤田恵美さんの弾き語りに続き、漫画家の手塚治虫氏を父に持つ手塚るみ子さんと藤田さんがトークを展開。地球環境問題をとりあげた治虫氏の随筆集『ガラスの地球を救え』と同名のラジオ番組のパーソナリティを長年務めている手塚さんは、「父は、まるで自分たちが自然を支配しているかのような人間たちにいつかしっぺ返しが来る、という内容の作品を数多く描いた」と手塚治虫作品について語り、「地球上にどれほどのたくさんの命があって、それらが関わりあって命をつないでいるということがよくわかっていた」という治虫氏の想いを通して、一般人のちょっとした心配りが欠けただけで、多くの自然が失われてしまう危険を伝えた。また、心のバリアフリー音楽会を開催している藤田さんは、自然に対する思いやりや感謝する心の大切さを訴えた。

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   パネルディスカッションでコーディネーターを務める広田奈津子さん

 第2部では広田奈津子さんをコーディネーターに、名古屋市立大学准教授の香坂玲さん、手塚るみ子さんが意見交換した。「日本人は、技術が何とかしてくれると発想しがちだが、生物多様性は森やCO2など一側面で切れるものでなく、つながりの中で考えていかなければならない」という香坂さんの意見を受けて、手塚さんは「良心のある人間が使って初めて、科学は力を発揮する」と言い、治虫氏は「地球が危ない」と警鐘を鳴らしながらも「今ならまだ間に合う」とメッセージを送り続けていたことを告げ、「最後には人間に期待していた。それは、人間には知恵と想像力があるから。自然への想像力をもってCOP10を希望の場にしてほしい」と結んだ。 

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      名古屋市立大学准教授の香坂玲さんと手塚るみ子さん

 青年会議所スタッフによる「名古屋人の気質と生物多様性」のプレゼンテーションでは、“知足の精神”“もったいない”“もうやいこ(仲良く共同でという意味の名古屋弁)”などの名古屋気質が、生物多様性保全に向けての大きな礎になると分析。生物多様性に積極的に取り組む地元団体のメッセージをビデオで届けた。また生物多様性やCOP10の認知度が40%以下という現状に、更なるPRの必要性が強調された。最後に藤田さんが、手話で「ひだまりの歌」を独唱。聴衆も一部のフレーズを手話で参加し、場内はあたたかな一体感に包まれた。

(浜村良子)

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企業緑地は未来への投資 - 名古屋で環境担当者らが生物多様性セミナー http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/04/531 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/04/531#comments Tue, 03 Mar 2009 16:43:42 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/03/04/531  2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の名古屋開催を前に、地元企業を中心に理解や機運を高める「生物多様性セミナー」が2009年3月3日(火)、名古屋市中区錦の三井住友銀行SMBCパーク栄であり、「生物多様性の視点からみた持続的企業活動と“緑”」をテーマに各社の環境対策担当者らが企業緑地の活用などについて意見を交わした。

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 生物多様性を生かした企業緑地の活用などについて話し合われたセミナー

 同銀行がCOP10パートナーシップ事業として開く連続セミナーの皮切りとなる企画で、企業や行政関係者ら約80人が参加した。
 基調講演では三井住友海上グループ・インターリスク総研コンサルティング第一部の原口真さんが生物多様性と企業活動との関係を、鹿島建設環境本部地球環境室の山田順之さんが欧米の先進事例などを紹介。原口さんは「自然保護は貴重なものだけを守ればいいという考えだが、生物多様性は貴重でないものも保全することが重要と考える。企業緑地を生かしていかに自然と共生し、折り合いをつけていくかを考えれば、ビジネスチャンスはある」と呼び掛けた。

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 「手探りでやってきた」と自社の緑地整備の活動などを紹介する担当者

 パネルディスカッションは原口さんをコーディネーター役に山田さん、トヨタ自動車社会貢献推進部プロフェッショナル・パートナーの池上博身さん、ソニーイーエムシーエス幸田テック人事総務部の加賀真さん、大同特殊鋼環境エネルギー部長の野村一朗さん、住友林業緑化環境緑化事業部グループマネージャーの伊藤俊哉さん、三井住友銀行経営企画部CSR室長の佐藤耕司さんの5人が登壇。
 池上さんは本社のある愛知県豊田市の里山を整備する「トヨタの森」の活動を報告したうえで、昨年来の世界同時不況による厳しい経営環境のなかで「メーンでやってきたものはなるべく生かし、その他のものはスリムにしていこうと、この半年ぐらいで見直しを進めている」と明かした。トヨタの森づくりに協力している伊藤さんは「今でこそ里山は辞書にも載っているが、はじめからそうした展開を読んでいたわけではない。むしろ手探りのまま実直に取り組んでいった成果」と強調。自社工場内で「ソニーの森」づくりを進める加賀さんも「われわれの本業はモノづくりだが、それ以外での投資だと考えている。単に緑地を保護するだけでなく、何のためなのかという価値観をもたせたい」などと話した。
 次回は「生物多様性と企業-基本に立ち返って両者の関係を考える」と題し、5月15日(金)午後2時から、名古屋大学国際環境人材育成プログラム特任教授の渡邊幹彦さんを講師に迎え、同パークで開かれる。
 (関口威人

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地球いきもの応援団が宣言式 - 生物多様性を親しみやすく伝える http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/26/530 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/26/530#comments Wed, 25 Feb 2009 15:06:58 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/26/530 環境省と生物多様性広報・参画推進委員会は2009年2月24日(火)、著名人による生物多様性の広報組織「地球いきもの応援団」の宣言式を東京都内で開催した。メンバーは、生物学者で東京大学名誉教授の養老孟司さん、フリーキャスターの滝川クリステルさん、タレントでキャスターも務める大桃美代子さん、東京海洋大学客員准教授でお魚ライフ・コーディネーターのさかなクンの4人。2010年の国際生物多様性年および生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の日本開催の機会に、生物多様性に対する関心を高め、多様な主体の参画をより推進していくために、それぞれの立場から親しみやすい情報発信を行っていく。

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  養老孟司さん                                              滝川クリステルさん

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  大桃美代子さん                                           さかなクン

宣言式では、メンバーが一人ひとり、「人も生きものも元気な世界をつくる」(養老孟司さん)、「メディア、報道を通して、生物多様性の重要性を分かりやすく、より多くの人に伝える役目を責任を持って担いたいと思っています。」(滝川クリステルさん)、「田んぼに住む生き物の大切さ、地球に生きる者としての意識を高めていきます。」(大桃美代子さん)、「すべてのお魚たちそれぞれの魅力があることをお伝えします!!」(さかなクン)と、行動宣言を読み上げ、その背景を紹介した。

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 なごやかにメディアの取材を受ける応援団のメンバーら

宣言式の後には、応援団メンバーとなった滝川クリステルさんが進行役となって「生物多様性と企業」をテーマとしたトークセッションも行われた。
(安在尚人)

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気候変動・貧困問題などとの関わりテーマに国連生物多様性シンポ http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/23/528 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/23/528#comments Mon, 23 Feb 2009 04:21:51 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/23/528 国連シンポジウム「生物多様性 気候変動・食料危機・貧困問題との関わり」が2009年2月21日(土)、東京・広尾のJICA地球広場で開催された。気候変動は農作物の収穫量の減少をはじめとする生物多様性への影響をもたらし、近い将来、人類は深刻な食糧危機に見舞われると予想されており、シンポジウムでは、気候変動に対処して生物多様性の保全を図り、持続可能な社会をつくるには何が必要かについて話し合われた。

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シンポジウムではまず、兵庫県人と自然の博物館館長で東京大学名誉教授の岩槻邦男さんが「生物多様性の持続的利用―直面する危機を乗り越えて」と題して基調講演を行った。

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 「里山さんは日本人の心」と語る岩槻邦男さん

岩槻さんは「里山は日本人の心だ。日本語の自然はありのままの姿のことだが、欧米では自然は文明で“clear”し有効に活用するものだった。日本人は自然と共生して生きてきたが、明治維新を迎えて西洋文明に追いつけ追い越せで、心を捨ててしまった。農耕牧畜の時代から科学技術の時代になったが、うまいライフスタイルの創出には、日本でも世界でも成功していない。自然を保護するだけでなく望ましい環境を創生することが極めて大切なポイントだ」などと語った。

続いてのパネルディスカッションでは、共同通信社科学部編集委員の井田徹治さんがファシリテーターを務め、コンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表の日比保史さん、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわ オペレーティング・ユニット所長のあん・まくどなるどさん、日本サステイナブル・コーヒー協会理事長でMi Cafeto代表取締役の川島ホセ良彰さんらが、それぞれの取り組みなどを紹介した。

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 (左から)井田徹治さん、岩槻邦男さん

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 (左から)日比保史さん、あん・まくどなるどさん、川島ホセ良彰さん

20年ほど前から日本各地の農山漁村を歩いてきた、まくどなるどさんは「明治時代の人たちは周囲にあるものをベースに生活していたためにライフスタイルの自然界への影響は目の前で見えたが、ライフスタイルが欧米化する中で自然界との距離はだんだんと遠くなり、生物多様性への認識も急激に変わった」との認識から「教育の現場で、人間が賢く自然と生きていた徳川時代をベースにした科目があってもいいと思う」と述べた。

日比さんは「世界の人為的CO2排出量の2割は熱帯雨林の消失によって排出されており、気候変動と生物多様性はいろいろなところで関わり合っている。また、生物多様性の破壊と貧困問題との関わりでは、世界で約20億人が森林に依存しており、その多くが農村部の貧困層だ」と、気候変動と生物多様性と貧困が互いに深く関わりあっていることを指摘した。

また、川島さんは、コーヒーは世界で1億2500万人が関わる世界最大の産業であり、コーヒーが日陰で育つ数少ない農作物で森の中で生産することができることを指摘するとともに、「価格が暴落すれば土地が銀行に渡り放牧地にされてしまうし、暴騰すれば増産のための無計画な開発によって大量の農薬が使用されてしまう。価格が上がっても下がっても環境が破壊されるので、価格の安定が持続可能な環境づくりには不可欠だ」と語り、サステナブルコーヒーの認証制度などの取り組みを紹介した。
(安在尚人)

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生き物は絶滅したらもうつくれないよ - 豊橋総合動植物公園で生物多様性キャラバンセミナー http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/18/527 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/18/527#comments Tue, 17 Feb 2009 15:20:44 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/18/527  愛知県では県内各地域で生物多様性についての知識を深めてもらおうと、「愛知県生物
多様性キャラバンセミナー」を開催しています。2009年2月15日(日)、豊橋市の豊橋総合動植物公園で開催されたセミナーに取材に行ってきました。

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 動物たちを前に解説する担当者

 この公園は動物園、植物園、自然史博物館、遊園地がいっしょになった施設で、生物多様性を実感するのにはもってこいの場所です。この日は市内の小学生と保護者ら約100人が参加しました。
 「生物多様性という言葉を聞いたことがありますか」という愛知県環境部の担当者からの質問でスタート。ほとんどの参加者が知らないと答え、まだまだ認知度は低いようでした。
 いろいろな生き物が共存することの必要性、1日に約100種が絶滅している現実などを説明されると、驚く子どもたちの顔。「物は何度でもつくることができるが、生き物は絶滅したらもうつくることはできない」という言葉が印象に残りました。

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 恐竜の展示も有名

 その後、動植物園と自然史博物館を見学。動物や鳥をただ見て楽しむだけでなく、彼らについて学び、自然の中で感じるために人間がどのような行動をとれば良いのか考えるための場所にしてほしい、と施設の関係者は話しました。
 モリゾー・キッコロも登場し、生物多様性を守るため、身近な生き物を大切にすること、生き物が暮らしていけるよう木を植えていこうというお願いがありました。

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 モリコロが登場して盛り上げ

 この地球上には、生物種が約175万種、未知のものも含めると3,000万種とも言われる生物が暮らしています。
 すべての生き物は、長い時間をかけた進化の過程でこれらの環境に適応することにより、多様に分化してきました。そして、同じ種であっても個体間や生息する地域によって体の形などの特徴に少しずつ違いがあります。このように多様な生物種、それらの生態系のバランスがうまくとれていることが生物多様性の概念です。
私たち人間もその一部であることを忘れないよう心がけたいです。

 このセミナーを締めくくる「生物多様性を考えるシンポジウム」が下記の日程で開かれます。
■2009年3月21日(土)開演13:30(参加費無料) 
会場…アイプラザ一宮講堂
・基調講演
「ニホンオオカミからイリオモテヤマネコまで「生物多様性」のホントの意味」山根一眞氏(ノンフィクション作家)
・取り組み事例発表
「のこり染」・・食べもの材料の”のこり”からの染色技術」
墨勇志氏(艶金興業株式会社 常務取締役)

■2009年3月22日(日)開演13:30(参加費無料)
会場…豊田市福祉センター講堂
・基調講演
「ロボットと生物多様性」
養老孟司氏(東京大学名誉教授・解剖学者)
・取り組み事例発表
「カタツムリに学ぶすまいの防汚技術」

いずれも申し込みが必要となります。詳細については下記ページにてご確認ください。
http://www.pref.aichi.jp/0000022131.html

(森乃雫)

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ポスト2010年目標の達成手段取りまとめなどの取り組み紹介 – COP10/MOP5の第1回円卓会議開催 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/05/526 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/05/526#comments Thu, 05 Feb 2009 02:04:07 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/05/526 「生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)及びカルタヘナ議定書題5回締約国会議(MOP5)の開催に関する情報共有のための円卓会議」の第1回会合が2009年2月3日(火)、環境省で開催された。関係省庁、地方自治体、COP10支援実行委員会、事業者・経済団体、NGO/NPO、学術団体、国際機関などの代表約20人が、COP10に向けたそれぞれの取り組みについて紹介した。

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冒頭、環境省の黒田大三郎自然環境局長が「すべての関係する主体が連携し、役割分担しながら取り組んでいかなくてはならない」とあいさつ。各省庁からの説明の中で、外務省の水野政義国際協力局地球環境課長は、COP10でのポスト2010年目標の設定に合わせて、その達成手段を具体的に提示していく方針を表明した。ポスト2010年目標は、「生物多様性の損失速度を 2010 年までに顕著に減少させる.」という2010年目標に代わる目標としてCOP10で話し合われる。その達成手段として、水野課長は▽政府の政策だけでなく、企業、NGO、地域住民、都市住民による活動も含めて、その具体的な取り組み内容を目標達成との関係で明確化していく▽既に取り組んでいる行動の中から条約の目的にかなうものを見いだし、行動を促進し、取り組みの強化を促していく▽わが国の先進的な取り組み、特に自然との共生、高度な技術に基づくものを、途上国ほか各国に普及、拡大する―などを挙げた。また、目標達成のために、COP10のテーマを設定し、会合までの国内、国外の行事、活動をテーマに沿った形で結集させ、「COP10会合時点での効果の最大化」を目指す考えで「生物多様性の保全、持続可能な利用のために貢献し得る人間活動を特定し、その意義を認識するとともに、その活動の普及・拡大に努める」というテーマ案を紹介した。

政府は、各国のCOP10関係者や関係国際機関への説明を経て、3月中旬にわが国のテーマを決定し、4月初めのCBD第4回ビューロー会議で承認を受ける方針だ。

経産省、農水省、国交省などの説明に続いて、自治体からは、開催地の愛知県、名古屋市のほか、千葉県、石川県が里山などをテーマにした先進的な取り組みを紹介。経済界からは、日本経団連自然保護協議会の岩間芳仁事務局長が「自然保護基金でCOP10に向けて活動するNGOへの支援を検討している。また、内外のNGOと一緒に会議に出て、日本からの情報発信をしたい」などと発言した。NGO/NPOからは、1月に発足したばかりの生物多様性条約市民ネットワークの共同代表である、高山進三重大学教授と国際自然保護連合(IUCN)日本委員会会長の吉田正人江戸川大学教授が、新組織の趣旨や特徴を説明した。

日本学術会議、日本生態学会、日本造園学会などの専門家や国連大学高等研究所、国際協力機構(JICA)、地球環境研究戦略機関(IGES)などは、それぞれの研究活動や関係する国際会議などをCOP10にどう関連させていくかなどについて報告した。

(安在尚人)

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《シリーズ生物多様性・温故知新3》-生きた素材の力、謙虚に引き出す「美濃和紙」 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/03/525 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/03/525#comments Tue, 03 Feb 2009 01:08:47 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/02/03/525

 丸っこく微妙にひしゃげた形、鼓動が聞こえてきそうな温かな光-。
 彫刻家イサム・ノグチがデザインした照明器具「AKARIシリーズ」を初めて見たのは学生時代のことだった。その素材が「美濃和紙」だと知ったのはそれからちょっと後。東海地方を代表する伝統産業だと知ったのはかなり後、というか、実はつい最近のことだ。
 今にも動き出しそうな「AKARI」を包む美濃和紙に、生物多様性を考えるヒントがないはずがない。そんな都合の良い確信を抱いて、今回は「和紙の里」、岐阜県美濃市に向かった。

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 手作りの木づちで和紙の原料を処理する若手紙すき職人の加納武さん

 ■元職人たちが原料栽培
 冬は2、3メートルの雪に囲まれることもある山あいの土地。それでもあえてこの時期に訪れようと思ったのは、美濃和紙の代表的な原料である「コウゾ(楮)」の収穫が地元であると聞いたからだ。雪の影響で何度か日程変更を余儀なくされながら、ようやく好天に恵まれた平日、名古屋市内から車で約2時間、市を東西に流れる板取川近くのコウゾ畑を訪れた。
 「今年は台風も来んかったし、害虫も少ない。近ごろにない大豊作だわ」
 畑で作業をしていた古田彰さん(80)が年齢を感じさせぬ威勢の良い声で話した。
 初めて見るコウゾは高さ2、3メートルほど。10本前後の枝が根元から上にすうっと伸び、ブラシの毛のように畑一面を埋めている。古田さんら高齢者が5人ほど、チェーンソーで次々に枝を刈り取っては、よいこらしょと肩に担いでトラックに積み込んでいた。

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 チェーンソーでコウゾの枝を次々に刈り取る組合員たち

 クワ科の落葉低木で、全国的に分布するコウゾ。もちろん美濃の山にも自生していたが、和紙づくりには主に高知・土佐産や栃木・那須産をわざわざ取り寄せていた。地元でもきちんと原料をまかなえるようにと「美濃市こうぞ生産組合」がつくられたのは20年ほど前。以来、古田さんら一線を退いた紙すき職人たちが協力してコウゾを栽培し続けている。
 枝の直径はせいぜい10センチと決して太くはない。その一本一本の表面を手作業で剥(は)いだ皮が和紙の原料。しっかりと天日で干した皮は真っ白で硬い。それをほぐした繊維は太く長く、よく絡み合うため、美しく丈夫な和紙ができるのだという。
 「冬に刈り取るのは皮が一番厚くなるから。雪のときは作業も大変だが、やっぱり地元のもんだし、職人にも評判はいいんだ」
 古田さんの誇らしげな笑みがコウゾ畑に咲いた。

 ■手間ひま掛けて原点追究
 こうして手塩にかけて育てられた原料を、昔ながらの手作業で扱う職人はもう数少ない。最盛期には5000戸近くあった岐阜県内の手すき和紙生産者は、いまや20戸ほど。そのほとんどは70歳以上の高齢者だ。それでも伝統の素材や製法にこだわる貴重な若手職人の一人、加納武さん(36)を訪ねた。
 「効率的にできるならやりたいんです。でも、いい紙をつくろうとすると結局、昔ながらの手数をかけたつくり方になってしまう」
 控えめに、しかし熱く「紙」を語る加納さん。こだわりの道具や素材であふれる工房は、もともとプラスチック工場だった実家だ。はじめは家具職人を目指していたというが、専門学校を卒業後、勤め始めた高山の土産物店で扱われていた美濃和紙に魅力を感じて再び地元へ。伝統工芸士の下で修行を重ね、2003年に独立。「幸草紙(さいぐさがみ)工房」を構えるとともに、若手のグループで新たな商品開発に取り組んだり、コウゾ栽培に乗り出したりするなど、精力的に活動している。
 そんな加納さんが紙づくりに使うのはコウゾ、ガンピのほか、ワラやアサも。特にアサは古来から和紙の原料だったが、近年は入手も扱いも難しくなり、すっかり使われなくなった。加納さんが追究するのは、こうした素材の見直しも含めた和紙づくりの原点だ。
 伝統的な美濃和紙は、原木の白皮を釜で煮る「煮熟(しゃじゅく)」、やわらかくなった白皮から細かいごみを取り除き、木づちで叩いてほぐす「叩解(こうかい)」、そして原料を簀(す)に入れて両手で揺すりながら薄く伸ばす「紙すき」などの工程を経てつくられる。
 この紙すきに使うもう一つの植物が、トロロアオイ。中国原産のアオイ科の一年草で、夏には淡黄色の大きな花を咲かせる。秘密は根。砕いて水に浸すと、ねっとりとした粘液が出る。これを紙すきの過程で原料に混ぜると、紙の厚みが均一になるのだという。
 「これなしでは作業ができないくらい、大事なものです」。そう言って加納さんは工房の隅にある桶から、トロロアオイの根をずるりとすくいあげた。

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 トロロアオイの根。この粘液を原料に混ぜて紙をすく

 驚くのは、これが時間がたつと跡形もなく消えてしまうという性質だ。
 岐阜県産業技術センター紙研究部によると、トロロアオイの粘性は化学的にはアルギン酸ナトリウムやポリ酸化エチレンなどに近く、水中の繊維を均等に分散して浮遊させ、沈殿しにくくする。この効果が最高級の紙を生む「流しすき」の技術を確立させたとまで言われる。ただし、その詳しい性質はよく分かっておらず、完全な代替品は見当たらない。化学薬品ではどうしても最後まで成分が残ってしまう。「雑菌がすぐに繁殖して、特に夏場は腐りやすい」と加納さんがこぼす通り、管理は非常に難しい。冬場でも最低限の量をつくり置き、早めに使い切るのだという。
 やはり紙は「生き物」だったのだ。

 ■「常識」覆す挑戦も
 少し視野を広げてみよう。紙のなかでも「再生紙」の偽装問題が発覚したのは2008年のはじめ。大手を含む製紙各社が年賀はがきやコピー用紙に「古紙配合率100%」などと表示していたが、実際は大半で50%以下の配合率だった。10年以上も業界ぐるみで偽装を続けていた理由の一つは、求められる品質と高い古紙配合率の両立が「そもそも技術的に不可能」(大手製紙会社)だったからとされている。
 パピルスの時代から、紙は人間が「最も工業化させた農業」の一つと言えよう。自然素材を原料としながら、機械や薬品を大量に用い、安定した品質で大量生産する方法を確立した。しかし、今回の偽装は、そこに過信や落とし穴があったのではないか。結局、紙はプラスチックとは違う。生きた自然の恵みであり、不確かで不安定であり、そしてあまりにも多様だ。それをどこまで柔軟に、謙虚に受け止められるか-。
 美濃和紙の伝統から学ぶべきことは、多いだろう。

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 加納さんが開発中の「洗える紙」。コンニャク糊で張り合わせ、表面に柿渋が塗ってある

 伝統製法にこだわりながら、加納さんは現代の生活になじむ新しい紙の可能性も探っている。
例えば「紙のカーテン」。薬品処理した紙は太陽の光で茶色く劣化する。しかし本物の手すき和紙は逆。もともとの生成り色が、陽に当たって白さが増すのだという。
 さらには「洗える紙」。美濃和紙をコンニャク糊を使って張り合わせ、柿渋を塗って防水加工すれば、洗濯にも充分耐え得るという。いずれも紙の常識を180度覆す挑戦だ。
 「手間やコストの問題はあります。でも、自分のやり方が間違っていなければこれからの時代、広がりがもてる。そう信じています」
 愚直に、誠実に、きょうもひたすらに紙をすく職人が、美濃にいる。

 (関口威人

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COP10に向けてNGO/NPOなどが全国組織-生物多様性条約市民ネットワークが設立総会 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/01/26/523 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/01/26/523#comments Mon, 26 Jan 2009 04:29:20 +0000 編集者 http://goodnews-japan.net/news/cop10/2009/01/26/523 生物多様性条約市民ネットワーク(略称:CBD市民ネット、英語表記:Japan Civil Network for Convention on Biological Diversity)の設立総会が2009年1月25日(日)、名古屋都市センターで開催された。2010年に開催される生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)およびカルタヘナ議定書第5回会合(MOP5)に向けた、NGO/NPOなどの全国ネットワークとして、政策提言や、普及・啓発、COP10での国内外のNGOの受け入れなどの活動を行っていく。

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            大勢の参加者が詰めかけたCBD市民ネット設立総会

NGO関係者などの市民を中心に100名を超える参加者で会場はほぼ満員。関心の高さをうかがわせた。環境省や生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会などの来賓あいさつの後、設立までの歩みや会則、事業計画などが説明された。

日本自然保護協会の道家哲平氏からは、「2008年5月のドイツでのCOP9(第9回締約国会議)から日本のNGOへバトンが受け渡されたのち、国際的な状況について情報を集め、また条約事務局との意見交換会などを行なって来ました。国内外のネットワーク事例を参考に東京・愛知を中心としたネットワー ク作りについて模索し、昨年夏ごろから本格的に準備してきました」と経緯について説明があった。

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     経過報告などをする道家哲平氏

続いて、「『地球に生きる生命(いのち)の条約』である生物多様性条約の目的に賛同し、その目的の実現に向けて地球市民の立場から活動を行う。」という目的や、NGO/NPOだけでなく生物多様性保全に取り組む企業も含めたネットワークとしていくことなどをうたった趣意書や会則が提案された。

質疑応答では、会場から、活動期間、参加資格から会則の言葉使いに至るまで、詳細な質問が出され、運営委員からひとつずつ丁寧に回答がなされた。趣意書にある「十分な公開性と透明性を保障する民主的な運営」の努力へ第一歩が行われた形となった。

役員としては、共同代表として、高山進氏(伊勢・三河湾流域ネットワーク代表世話人)と吉田正人氏(国際自然保護連合日本委員会会長)が選ばれるとともに、東京、名古屋のNGO関係者を中心とした運営委員が選出された。

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          共同代表の吉田正人氏(左)と高山進氏

提示された事業計画内容には、「政策提言、普及・啓発、COP10での海外NGO受け入れ」などが盛り込まれた。政策提言の具体的な内容については、生物多様性条約会議関連の関係者や有識者による会合として2月3日に第1回目が開催される「円卓会議」などに参画しながら、徐々にポジションペーパーなどとしてまとめていく。

記者会見では、選出された運営委員が「生物多様性条約は、環境系の話題だけでなく、食糧問題、貧困と開発、先住民の権利問題など広範なテーマと関連するもの、今後は、そうしたNGOや関係者にも参画を呼びかけたい」、「COP9時に集結していた海外NGOを今回、しっかりと受け入れなければならない」、「生物だけではなく人間の命も軽んじられる時代、『命の声を聴く』というテーマを掲げて活動したい」などと意欲を述べた。

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             設立総会終了後に記念撮影に収まる参加者たち

(今井麻希子、佐藤直樹)

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