名古屋青年会議所は、環境を考える上で地球温暖化と並んで重要なキーワードである「生物多様性」について、頭だけでなく感性に訴えてわかりやすく市民に伝えようと、トーク&ライブやパネルディスカッションを企画。2009年3月10日(火)に行われた3月例会で、なごや環境大学と共催の形でイベント「地球のいのち、つないでいこう」を開催した。会場となった名古屋市中区の伏見ライフプラザでは、会員と一般市民、約500人が歌手の藤田恵美さんのコンサートやプランニング・プロデューサーの手塚るみ子さんらのトークを楽しみながら、生物多様性についての理解を深めた。
開会のあいさつで木村浩樹理事長は、2005年に地元で開催された愛・地球博や、2010年に愛知・名古屋で開催されるCOP10に言及し、この例会を「生物多様性を五感で感じられる機会にしたい」と述べた。
第一部では、元ル・クプルのボーカリストである藤田恵美さんの弾き語りに続き、漫画家の手塚治虫氏を父に持つ手塚るみ子さんと藤田さんがトークを展開。地球環境問題をとりあげた治虫氏の随筆集『ガラスの地球を救え』と同名のラジオ番組のパーソナリティを長年務めている手塚さんは、「父は、まるで自分たちが自然を支配しているかのような人間たちにいつかしっぺ返しが来る、という内容の作品を数多く描いた」と手塚治虫作品について語り、「地球上にどれほどのたくさんの命があって、それらが関わりあって命をつないでいるということがよくわかっていた」という治虫氏の想いを通して、一般人のちょっとした心配りが欠けただけで、多くの自然が失われてしまう危険を伝えた。また、心のバリアフリー音楽会を開催している藤田さんは、自然に対する思いやりや感謝する心の大切さを訴えた。
パネルディスカッションでコーディネーターを務める広田奈津子さん
第2部では広田奈津子さんをコーディネーターに、名古屋市立大学准教授の香坂玲さん、手塚るみ子さんが意見交換した。「日本人は、技術が何とかしてくれると発想しがちだが、生物多様性は森やCO2など一側面で切れるものでなく、つながりの中で考えていかなければならない」という香坂さんの意見を受けて、手塚さんは「良心のある人間が使って初めて、科学は力を発揮する」と言い、治虫氏は「地球が危ない」と警鐘を鳴らしながらも「今ならまだ間に合う」とメッセージを送り続けていたことを告げ、「最後には人間に期待していた。それは、人間には知恵と想像力があるから。自然への想像力をもってCOP10を希望の場にしてほしい」と結んだ。
青年会議所スタッフによる「名古屋人の気質と生物多様性」のプレゼンテーションでは、“知足の精神”“もったいない”“もうやいこ(仲良く共同でという意味の名古屋弁)”などの名古屋気質が、生物多様性保全に向けての大きな礎になると分析。生物多様性に積極的に取り組む地元団体のメッセージをビデオで届けた。また生物多様性やCOP10の認知度が40%以下という現状に、更なるPRの必要性が強調された。最後に藤田さんが、手話で「ひだまりの歌」を独唱。聴衆も一部のフレーズを手話で参加し、場内はあたたかな一体感に包まれた。
(浜村良子)
















