国連シンポジウム「生物多様性 気候変動・食料危機・貧困問題との関わり」が2009年2月21日(土)、東京・広尾のJICA地球広場で開催された。気候変動は農作物の収穫量の減少をはじめとする生物多様性への影響をもたらし、近い将来、人類は深刻な食糧危機に見舞われると予想されており、シンポジウムでは、気候変動に対処して生物多様性の保全を図り、持続可能な社会をつくるには何が必要かについて話し合われた。
シンポジウムではまず、兵庫県人と自然の博物館館長で東京大学名誉教授の岩槻邦男さんが「生物多様性の持続的利用―直面する危機を乗り越えて」と題して基調講演を行った。
岩槻さんは「里山は日本人の心だ。日本語の自然はありのままの姿のことだが、欧米では自然は文明で“clear”し有効に活用するものだった。日本人は自然と共生して生きてきたが、明治維新を迎えて西洋文明に追いつけ追い越せで、心を捨ててしまった。農耕牧畜の時代から科学技術の時代になったが、うまいライフスタイルの創出には、日本でも世界でも成功していない。自然を保護するだけでなく望ましい環境を創生することが極めて大切なポイントだ」などと語った。
続いてのパネルディスカッションでは、共同通信社科学部編集委員の井田徹治さんがファシリテーターを務め、コンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表の日比保史さん、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわ オペレーティング・ユニット所長のあん・まくどなるどさん、日本サステイナブル・コーヒー協会理事長でMi Cafeto代表取締役の川島ホセ良彰さんらが、それぞれの取り組みなどを紹介した。

(左から)日比保史さん、あん・まくどなるどさん、川島ホセ良彰さん
20年ほど前から日本各地の農山漁村を歩いてきた、まくどなるどさんは「明治時代の人たちは周囲にあるものをベースに生活していたためにライフスタイルの自然界への影響は目の前で見えたが、ライフスタイルが欧米化する中で自然界との距離はだんだんと遠くなり、生物多様性への認識も急激に変わった」との認識から「教育の現場で、人間が賢く自然と生きていた徳川時代をベースにした科目があってもいいと思う」と述べた。
日比さんは「世界の人為的CO2排出量の2割は熱帯雨林の消失によって排出されており、気候変動と生物多様性はいろいろなところで関わり合っている。また、生物多様性の破壊と貧困問題との関わりでは、世界で約20億人が森林に依存しており、その多くが農村部の貧困層だ」と、気候変動と生物多様性と貧困が互いに深く関わりあっていることを指摘した。
また、川島さんは、コーヒーは世界で1億2500万人が関わる世界最大の産業であり、コーヒーが日陰で育つ数少ない農作物で森の中で生産することができることを指摘するとともに、「価格が暴落すれば土地が銀行に渡り放牧地にされてしまうし、暴騰すれば増産のための無計画な開発によって大量の農薬が使用されてしまう。価格が上がっても下がっても環境が破壊されるので、価格の安定が持続可能な環境づくりには不可欠だ」と語り、サステナブルコーヒーの認証制度などの取り組みを紹介した。
(安在尚人)



















