名古屋の母なる川「堀川の浄化」は、名古屋市民にとって環境問題のシンボル的存在。その解決策として、堀川への平成18年度「木曽川導水事業」の予算が計上され、社会実験として実施されて3年が過ぎようとしている。そしてここにきて「堀川の浄化」がたんに名古屋市の環境問題でなく、山-川-里-海をむすんだ木曽川流域圏の課題として浮上してきた。折りしも昨年、2010年に生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)開催が名古屋市に決まった。開催が予定されている国際会議場は奇しくも堀川沿いにあり、その南側には白鳥庭園がある。その白鳥庭園のテーマが木曽川流域圏ということをご存知だろうか。中部地方の地形をモチーフに、築山を「御嶽山」、そこから流れる川を「木曽川」、川の水が注ぎ込む池を「伊勢湾」に見立て、源流から大海までの木曽川流域圏をテーマにした日本庭園だということを。
「堀川の浄化」が、木曽川からの実験導水の試みとなり、その結果、木曾川流域全体に思いをはせることとなった。まさに木曽川との関わりなくして名古屋・堀川の環境問題に解決なし。こうして堀川と木曽川をインターネットでむすび、木曽川の水の恩恵に浴している下流の名古屋市と上流の木祖村との交流会が、12 月14日(日)木祖村役場会議室と名古屋学院大学白鳥学舎の2会場で行なわれた。偶然にも名古屋会場は、国際会議場と白鳥庭園の間に位置する、昨年完成したばかりの新しい学舎である。一方、木祖村は木曽川の「源流の里」と言われ、村の東側にある鳥居峠は日本海にそそぐ信濃川と太平洋にそそぐ木曽川の分水嶺にあたる。木曽川の水は名古屋市民の水道水、電力、木材などの供給源であり、400年ほど前、木曽は尾張藩の直轄領であった関係から名古屋と木曽川流域とは歴史的にもつながりが深い。
ことの始まりは昨年の6月だった。マザーガイアサミット事務局の実行委員長、藤田祐司さんが、「自然との調和」をテーマに行なった2006年のマザーガイアサミットin宮島、2007年のマザーガイアサミットinびわこに次いで、日本ブラジル交流年にあたる2008年、沖縄とブラジルをつなぐインターネット交流イベント「マザーガイアサミットin沖縄」を開催した。このときのインターネット生放送は、オーストラリアなど海外、全国からもアクセスがあった。市民レベルでインターネットによる国際交流ができるというアイデアは、堀川1000人調査隊2010実行委と藤田氏らが中心になって、そのまま木曽川の上流、下流をインターネットでつないで流域間で相互理解を深められないかという試みに発展した。
私は交流会開催に当たって、分水嶺にあたる鳥居峠から木曽川流域を歩いてみた。約200kmの距離である。実際、木曽川沿いを歩くとわかることだが、白鳥庭園に表現されている一大パノラマの世界が実感できるのだ。針葉樹林のためか、冬だというのに、森は緑深く、川のせせらぎが聞こえ、湧き水が旅人の喉の渇きを癒してくれる。川勝平太さんが言われるように、日本はまさにガーデンアイランドだと実感する。まるで私は白鳥庭園の中をミクロの自分になって歩いている不思議な感覚に襲われる。
(NPO日本文化を守る会・武家の里 石浦薫)

















