暑かった夏が去り、皆さんお待ちかねの行楽のシーズンがやってきました。近場もいいですが、ちょっと足を伸ばして日本のヘソ、木曽川の源流のある、長野県木曽郡木祖村を訪れてみませんか?のどかな里山の風景や、燃えるような紅葉を眺めながらのハイキングが楽しめます。ここでは2回に分けて、8月末に行われた全国源流シンポジウムのエクスカーションに参加した折の、「菅古道」と「水木沢」散策の様子をお届けします。
荒れ果てた古道が復元され、木祖村の新たな観光名所となった菅古道。民蘇堂野中史料館の裏手にあるのは、“大宝元丑年” “11面観音菩薩像” “八十六番” と刻まれた石碑です。この存在は、地元のお年寄りしか知らなかったそうですが、古道復元に伴い、最近になって、797年に完成した続日本紀(しょくにほんぎ:日本書紀の次の勅撰史書)に記されているものと内容が合致することが判明したそうです。もしや、日本最古の憲法、大宝律令が制定された700年代に建てられたもの?・・でも、“宝”の字が新漢字なので江戸時代に建立か?・・との推測も。であれば、大宝とは江戸の私年号の1つ?・・なんだかワクワクするような、歴史ミステリーですね。小林さん曰く、「京都から順に木祖村へとこの石碑が一里ごとに建立されていたのでは?一里が4キロなので、京都からここまで約90里とすると、86はなるほど合点がいく数字です。85、87番が見つかると解明されるのですが・・・」。案内役の小林栄次郎さんが語る歴史ロマンに、胸ときめかせながら古道へと続く道を歩みます。
古道の入り口では、手作りベンチと丸太の椅子がお出迎え。新たな標識も設置されました。足元の土がやわらかく、一歩進むごとに爽やかな空気に包まれます。古道周辺には昨年、百草丸の原料となるキハダや、木祖村の工芸品、お六櫛の原料となるミネバリの苗木が、また今年はクヌギやナラ、栗などの広葉樹が地元の中学生によって植林されました。
間伐をしたおかげで魚が戻ってきた沢では、せせらぎが心に響きます。沢の周辺には大きな草ソテツが密集し、まるで熱帯にいるかのようなエキゾチックな雰囲気でした。林の中の平らな部分は、昔、水田だったところです。こんな高所まで米作をしていたなんて、驚きです。田んぼだった時代は、さぞ、棚田の風景が美しかったことでしょう。昔からの言い伝えで、このあたりは源氏の落人たちが暮らしていたところだったそうです。今年、小林さんらが周辺の間伐を進めていたところ、林の中に墓を発見。「法悦禅女」と彫られた立派な石碑で、数個の石塔も一緒に建立されていました。やはり源氏・・・???
菅古道の木々の間から望む里山は、のどかで美しく、この日はソバの花が咲いている畑や、黄金色の稲穂が見えました。これからも、四季折々に違ったすてきな風景が見られることでしょう。皆さんも、ぜひ、甦った菅古道を歩いてみられてはいかがですか?
(浜村良子)
*菅古道:JR「薮原駅」下車、菅方面バス(全て100円)7分「下村(しもむら)バス停」下車、目の 前が民蘇堂野中史料館(古道のスタート地点)
*問い合わせ: 木祖村観光協会
0264-36-2543(TEL)
小林栄次郎(古道等整備担当)宅
0264-36-3026(TEL&FAX)
090-1665-7852(携帯)

















