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区画整理進む中、音楽を奏で稲刈り - 名古屋市の野田農場
(2008年10月5日 09:23)

土地区画整理のために移転を迫られている名古屋市守山区の野田農場で2008年10月4日(土)、名古屋市の生物多様性アドバイザーである広田奈津子さん(NPO環音代表)の呼びかけで集まった市民らが、労働歌を奏でながら稲刈りを行った。田んぼから水が沸いているという珍しい場所で、子どもたちは稲刈りの後も泥んこになりながら、気持ちよさそうに遊んでいた。

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水につかった田んぼで稲刈りをする人たち 

名古屋市北東部の守山区中志段味で300年以上にわたって農業を営む野田農業。絶滅危惧種の生き物やクロガネモチの大木が残るこの場所から、北側の2㍍かさ上げした造成地への移転を求めらているが、その土地では農業は続けられないと、松原武久名古屋市長らに宛てて署名を提出するなどして、農場や自然豊かな環境をそのまま残すよう訴えている。

一方、名古屋市は、名古屋を生き物と共生する持続可能な都市にしていくための指針となる「生物多様性なごや戦略」づくりを進めており、広田さんは策定会議のしみん検討会議メンバーとして、専門家と市民をつなぎ、市民有志との協働プロジェクトを生み出していく役割を担っている。広田さんは「農家が減反政策でお金をもらって農地を簡単に手放してしまうのは、機械化で効率を求めた結果、収穫量が上がっても、人の助け合いも労働しながら歌うこともなくなり、農業が楽しくなくなったからでは」という思いを抱いていた。NPO環音で海外との音楽交流を続けていることもあって、自給率についての難しい話をするのではなく、農業を楽しくすることから始めようと、プロジェクトのはじめの一歩として、田んぼで生演奏をしながら稲刈りをしようと仲間に呼びかけた。

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作業をする人たちのかたわらで三線を弾く広田奈津子さん

この日は、近郊の家族連れなど20人ほどが参加した。田んぼから水が沸いているため、稲刈りといっても田植えのように水がたまった田んぼでの作業で、子どもたちはみんな泥んこ。途中、広田さんたちが、沖縄の労働歌「安里屋ユンタ」を三線(さんしん)で演奏すると、田植えをしている人が、伝統に習って即興で「志段味よいとこ~♪」と歌声を響かせた。

10㍍四方ほどの田んぼの稲刈りはあっという間に終わったが、子どもたちは、稲を刈り終わったたんぼで、いつまでも泥遊びに興じていた。

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泥水につかって遊ぶ子どもたち

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作業が終わった後には、そばがきや赤飯が振る舞われた

しかし、この光景が来年も見られる保証はない。田んぼの周りでは、2日前から区画整理組合に委託された業者が草刈りをはじめ、絶滅危惧種を含む豊かな自然が残っていた農場の土地は、すっかり姿を変えてしまった。野田農場の野田幸子さんは「許可を出していないのに、勝手に草を刈られてしまったんです。いろんな生き物がいる草ぼうぼうの環境の中で稲刈りをしてもらうつもりだったのに…」と嘆く。

クロガネモチの木と野田農場を営む自然環境を守る会の会長を務める浅沼秀夫さんは、藤前干潟を守る運動でも中核的な役割を演じた経験から、「藤前と同じように、大勢の市民が残せという声を上げれば、野田農場は残るでしょう」と語る。生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催地である名古屋に残された数少ない貴重な自然が守るために、名古屋市など関係者がどんな対応をするのか、しっかり見守っていく必要がありそうだ。

(安在尚人)

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