環境行政のあり方が大きく変化している。背景にはリサイクルはリサイクル、街づくりは街づくりというような縦割りでは、もはや持続可能な未来は創れないとの判断がある。要(かなめ)となるのは、コンパクトな街づくりや廃棄物のエネルギー活用といった、“環境をレンズにかざして街を創る”という総合的な視点。「私たちの未来は、産業だけでも、環境だけでも成り立たない」をスローガンに2008年11月12日~13日、中部国際空港(セントレア)で開催された大会では、このような視点から自治体、企業、市民が協働して生まれた新たな取り組みが紹介された。
前日の分科会の報告が、名古屋大学教授の鈴置保雄氏、愛知県循環ビジネス創出コーディネーターリーダーの藤沢寿郎氏によって行われた。環境モデル都市の代表格、富山市が実現したのは、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトな街づくり。富山ライトレールと呼ばれるLRT(次世代型路面電車)を市街地に走らせ、その沿線に居住、商業、業務、文化などの都市機能を集積させた。中心市街地の住宅には助成制度を設け、準工業地域の大規模集客施設を制限するなど、法整備もあわせ行政が積極的に主導。市民もゴミの減量などエコライフへの転換を図ることで後押しした。藤沢氏は、「市長は1年のうち100回も住民との話し合いの場を持った。官民協働で行う場合、いかにリーダーシップを構築していくかが重要」と述べ、鈴置氏は、「日常的にソーシャル・キャピタルを育んでいくことが大切」と、日頃から地域間や住民どうしの連携を密にしておくことの重要性を指摘した。
「各地域には未利用の資源が眠っている」と語る稲垣愛知県副知事
シンポジウムでは、名古屋大学・愛知工業大学教授の架谷(はさたに)昌信氏をコーディネーターに、東洋大学教授の藤田壮(つよし)氏、(社)日本都市計画学会副会長の小澤一郎氏、トヨタ自動車CSR・環境部部長の田島英彦氏ら5名がパネラーとして出席。小澤氏は、「都市計画はこれまでエネルギーのことを考えてこなかった。これからはエネルギー行政、環境行政を地域に織り込んでいくコーディネーター役になりたい」と述べた。藤田氏は、「これだけ高い質で資源循環が行われているのは日本以外にない。90年代型は成熟したので、地域循環か広域循環かどちらが適切か見極め、次世代型の資源循環システムの構築を」と力をこめた。また、「環境を経営資源に」という企業の呼びかけや、「どういう社会的資産としての都市を作り上げていくのかは、自治体の政策形成能力が成否の鍵」「制度問題を解きほぐしていくのは自治体しかない。その中で各省庁の欠点や、国との連携のしかたも見えてくる」「これからは自治体が政策立案していく時代」といった意見も聞かれた。最後に架谷氏が語った、「民族としての自信と誇りを持たなければ持続可能な社会を作ることはできない。環境に焦点をあてた街づくりは、われわれがそれらを取り戻すいい機会となるだろう」という言葉に、会場から大きな拍手が湧き起こった。
午後からは愛知県内のエコタウン事業の視察が行われ、記者はミッドランドコースに参加。名古屋駅前にある、高度な環境設計が施された超高層ビル“ミッドランドスクエア”の地域冷暖房施設や生ゴミ処理施設の見学を行った。地下5階にプラントを設置し、周辺33ヘクタール内の建物や地下街をネットワークで結び冷温熱を供給するもの。都心機能の充実と環境の両立を図ったビルとして、CO2の発生を最小限にとどめているという。
ミッドランドスクエアの地下プラント フィリアブランの植えられた屋上庭園
自治体関係者の姿が数多く見られた今大会。それぞれの地域に合った、持続可能な社会の道をひらくヒントがきっと得られたに違いない。全国各地で、また新たなエコタウンの胎動が聴こえる気がする。
(浜村良子)























