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「江戸前」の佃煮で、海と台所をつなぐ ~遠忠食品(東京都中央区日本橋)
(2008年9月23日 09:00)

私達にんじんCLUBで新たに取り扱いを開始した佃煮『江戸前でぃ!』シリーズは、貴重な「東京湾」で獲れたアサリなどの貝類が原料です。

製造元『遠忠食品』3代目・宮島一晃さんにご案内していただき、埼玉県越谷市の工場で「海と台所をつなぐ佃煮づくり」を見学しました。

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途絶えた東京湾と陸との栄養の「循環」

「江戸前」の正しい意味をご存じですか?東京湾で育った海産物のことで、お寿司で江戸前といったら、東京湾の魚介類だけをネタに握ったものをいいます。

東京湾はかつて約1万3600ヘクタール(東京ドーム約2900個分)もの干潟がありましたが、1960年代の高度経済成長とともに埋め立てがすすみ、現在では90%以上の干潟が消えてしまいました。干潟は多くの魚貝藻類の棲みかとなり、そこに暮らす水生生物は鳥や魚のエサとなってイノチを育て、水質の浄化にも大いに役立っていました。

たとえばアサリは、海水を吸い込んで体の中でろ過し、含まれている植物性プランクトンなどをエサとして取り込み、きれいになった海水を海に吐き出します。その能力は、アサリ1粒につき、なんと1時間で1リットル!

しかし干潟がなくなり生態系が大きく変わったこと、工場排水による水質の悪化などにより、魚介類が激減し、漁師は仕事ができなくなり、伝統的な多くの漁法も消えてしまいました。

 昔の東京湾は、川から適度な栄養分が流れ込んで、海が豊かになり、年間15万トンもの魚介類が水揚げされました。それが食卓に上がることで、栄養分が再び陸の上に戻る、という〈循環〉ができていたんです。 

しかし、東京湾流域の人口が3倍に増え、川から流れ込む栄養分もグーンと増えたのに、埋め立てや漁師の減少により、水揚げ量も4万トンにまで落ち込んだので、陸に戻る栄養分は以前の1/3。東京湾の栄養分が多すぎて、海と陸がうまく循環できなくなったんです。

行き過ぎた公害問題への反省から、近年東京湾の水質はずいぶんきれいになり、魚介類も戻ってきました。現在では東京湾で水揚げされた魚介類は「江戸前ブランド」として脚光を浴びるまでになっていますが、東京湾の魚介類の消費量がなかなか増えず、〈海と陸の循環〉は途絶えたままなのです。 

佃煮『江戸前でぃ!』を食べると、東京湾がきれいになる!? 

『江戸前でぃ!』は、東京湾の海の幸を食べていただき、海をきれいにしたい、という願いから誕生しました」と、宮島さん。貝の味、海苔の味がちゃんとする佃煮づくり。食べて循環のためには…もちろん美味しくなくっちゃ!ということで、製造の現場を見せていただきました。

工場に足を入れると、できあがった海苔の佃煮は広げて冷まされ、直径1mはある大きな鍋では、クツクツとちりめんが炊かれていました。さっそく味見させていただきましたが、海苔は香り豊か、ちりめんは魚の旨みが凝縮。どちらも佃煮のイメージと異なる、素材を生かした薄味仕立てです。

「昔の佃煮は保存が目的だったけど、今は(殺菌やびん詰などの技術が発達して)必要ないから、素材の味を生かして薄味に仕上げています」

素材は、可能な限り国産の原材料を使用。もちろん調味料も国産大豆の醤油など。

さらに、創業以来の作り方「直火釜」で佃煮を炊いています。簡単にいうと、コンロにのせた大きな鍋で、直火で煮る、というわけ。昨今は火加減が容易で大量生産に向く蒸気釜が主流なのですが「直火釜は火加減の調整が必要で、素材の状態や天候によってもできが違うので、経験と熟練がものをいいます。でもやっぱり美味しいね。煮炊きした時の熱の伝わり方が違うから、ふっくら炊けて、醤油の味が微妙に香ばしく感じます」

 アサリやシオフキなどの貝は、東京湾の一番奥にある干潟・三番瀬で育ったものです。やわらかくて美味しいのに、砂抜きが大変でこれまでほとんど商品化されなかったという珍しいシオフキや、アメリカからの外来種ホンビノス(クラムチャウダーとして利用される貝)も佃煮になりました。漁師だけが知っていた地元の味なのです。

にんじんCLUB 森さつき)

〈関連HP〉
・にんじんホームキッチン

 「にんじんCLUB」では中部地方を中心に有機野菜や無農薬・低農薬・無添加の食材をお届けしています。 

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