源流域の文化や歴史、人材の大切さを発信する「第9回全国源流シンポジウム」が2008年8月30日(土)、木曽川の水が生まれる源流の里、長野県木曽郡木祖村の木祖小学校で開かれた。名古屋市、日進市など下流域を含めた全国から参加者が集まり、上下流域の連携などが話し合われた。
オープニングの雅音人(がねっと)のコンサートに続き、実行委員長の澤頭修自(さわがしら・しゅうじ)さんが、「森は水の源・水は命の源・川は命のつながり」という今回のテーマを謳いあげ、共通の基盤に立つ源流域の参加者たちが活動の実態や悩みを出し合うことが、課題解決や地域の活力につながると強調した。
また、木祖村の栗屋徳也村長は、「水源を守らなければならない源流域は、過疎化・高齢化・産業の衰退などにより、森林整備や環境保全に苦心しながら賢明に取り組んでいる」と源流地域が抱える諸問題に言及。上下流域が一体となった流域全体での連携の前進に期待をこめた。
菅原文太さんのビデオメッセージの後、作家の塩野米松さんが、「木の文化と日本人の暮らし」と題して基調講演を行った。葛(くず)を手にしながら、「葛は昔、葛布(くずふ)を作るため、シルクのような光沢の糸がとれる貴重な資源だったが、今はゴミ以下のものになっている。効率と技術だけに頼っていたら、邪魔者扱いばかりか、絶滅させるために技術がいる時代になった」と現代の効率優先の風潮を戒めた。道具を作る鍛冶屋の衰退を例に挙げ、「ほとんどの仕事は環になっている。1つの作業が消えると様々な作業が消えていく」と言い、使う人たちが出てくれば、技術は甦りモノは再生されると、日本人の暮らしに根ざした手仕事文化の復活を唱えた。また、自然とのつきあい方において日本は発展途上国であるとし、先進国となるためには、生き方も含め、日本人の原点を見つめなおす時代にあると語った。
東京大学名誉教授の高橋裕さんは、「木曽川の人々と源流」と題して基調提言を行った。今までの日本は、流域を見る目が欠けていたのではないかと反省を促し、源流を原点とした新しい国づくりのあり方を提言した。「源流に難しい問題が最初に現れる」とし、少子高齢化が源流域で始まったとき、国政はそのことを正面から見据えなかったと指摘。それを国の問題と捉えられるかが政治家の質、と断言した。「水源地を活性化させることが、日本を活性化させる第一歩」とし、環境教育の場でもこういった概念を浸透させる新たな取り組みを期待した。
当日は、集中豪雨のため、一部地域で大きな被害があったにもかかわらず、木曽川下流域の名古屋市、日進市をあわせ100名を超える参加者がありました。源流域、そして上下流域と、それぞれが連携し絆を深め、未来に清流を引き継ごうとする関係者の熱い思いがほとばしる源流シンポジウム。後半のもようは(その2)でお伝えします。
(浜村良子)






















