トノサマガエルと私たちが呼んでいるカエルには、実はダルマガエルが含まれていることが多い。名古屋の人はダルマガエルとトノサマガエルをあまり区別していないんだな。といっても、研究者だって数十年前までは、ダルマガエルをトノサマガエルの同類としていたくらいだから、無理もない。

ダルマガエルはトノサマガエル以上に水辺を好む
何が違うかといえば、背中の線や黒い斑点の形のほか、顔つき、脚の長さ、鳴き声など、数え上げたらきりがないほど多い。でもそれは、しっかり目を凝らして見比べればの話。やっぱりこの二つのカエルはよく似ている。
差があるのはジャンプ力。走り高跳び選手のようにピョーンと美しくて大きなジャンプをするのはトノサマガエル。北京オリンピックに招待したいくらい。ダルマガエルのジャンプは小さくて低い。脚の長さが大きな差になって現れるんだ。短足でずんぐりした体形から名付けられたダルマガエルの方をいとおしく感じるのは、私も同じような体形をしているからかな。
このダルマガエル、環境省の絶滅危惧(きぐ)種に指定され、全国的に少なくなっている。トノサマガエルは普通種(名古屋市では絶滅危惧種)だというのに。でも、田んぼに出掛けて探してみると…。いるいる、全然珍しくない。場所によっては、トノサマガエルより多くいる。これが名古屋の状況だ。

吸盤のないダルマガエルはこんな水路に落ちたら出られない。
トノサマガエルやカルガモの赤ちゃんも同様だ
全国的な減少理由ははっきりしないけれど、農薬、深い農業用水路(指の先に吸盤がないから溝に落ちたら脱出できないんだ)、強くなってきた紫外線(日光を遮る毛が生えていないからね)などが考えられる。最近になって、カエルツボカビ病という恐ろしい伝染病が国内で見つかった。これがはやったら、もう生きていけないだろう。
さて、今年は絶滅が心配されている彼ら両生類をよく知ってもらうための「国際カエル年」だ。このままでは、世界の3分の1のカエルの仲間が絶滅すると言われている。水辺に出掛けたら、耳を澄ませてほしい。「ウゲゲゲ、グゲゲゲッ」。ダルマガエルのしわがれた鳴き声が、きっと聞こえてくるはずだ。
【ダルマガエル】(学名:Rana porosa brevipoda=ラナ・ポロサ・ブレビボダ)
平野部にある流れの緩やかな河川敷や水田、湿地などに生息する、全長3~8センチ程度のアカガエル科のカエル。褐色や緑の体に黒い斑点がいくつもあるのが特徴。腹部は白い。4月下旬に冬眠から目覚め、7月下旬ころまで繁殖活動を行う。
(動物写真家 高山博好)

■プロフィール
たかやま・ひろよし
1963年、愛知県生まれ。水族館飼育員として8年間勤務後、フリーの写真家に転身。自然の不思議さを雑誌や社会教育の現場で伝える。40歳を過ぎてから学んだ大学院では環境学を専攻、人の暮らしと隣り合う自然に注目している。耕さない田んぼの学校「エコたん」を主宰。




















