「生きていく私と働いている私の心が別では、生きづらかった。」生きることと働くことを分けるのではなく、どんな時も私でいたいと、チャレンジした女性がいる。鶴田紀子さん。そうして、『エコ・ブランチ』は誕生した。
創業61周年になる老舗の電熱線専門商社、鶴田商会の2代目に嫁いだのが28歳の時。当時は高度成長期。結婚当初、ご主人が午前0時前に帰宅することは、まず無かったという。無理な納期と値引き要求が年中行事のように繰り返される状況に、夫の仕事を手伝いつつも、ふと周りを見渡すといづこも同じ、自転車創業のような日本の風景……。
そんな経済の仕組みに疑問を抱いたのが、そもそもの始まりだった。降りるに降りられない社会で、自分たちらしい生き方をするには価値観が変わらなければと思い、ホリスティック・ライフ・ネットワークの中部事務局を手伝いはじめ、1990年から『ほ・の・ま』(大和言葉で、育ちゆく出会いの場、の意味の造語)の屋号で活動を開始。感性論哲学の会や、セミナー、講演会等を開催した。そんな中、北海道にある精神に障がいのある人たちの共同作業場、『べてるの家』の“降りてゆく生き方―なまけても、生きていける会社に。上り詰めるのでなく、降りて行きながら、素顔の自分たちでいられる場所でありたい”に出会う。
多様な思想と出会いに恵まれながら、「本気で日本を、世界を、地球を何とかしたいと、同じ思いを持っている人がきっといるはず。仕事を通してそんな人たちと出会いたい」と、環境事業部として、水や大地、心の浄化を通じて循環型持続社会を目指す「エコ・ブランチ」を誕生させたのが、2000年のこと。豊かな自然も、平和な社会も、遠いところにあるのではなく、毎日の暮らしの中で創っていくもの。「まだ使える物を大事に使うことは、廃棄物を減らし、ゴミ処理の負荷を減らし、空気や大地を汚さないことにつながります。またエネルギーの無駄使いをしないことが、石油資源を大切に使うこと、戦争に加担しないことにもつながります」と、“いのちのつながり”で社会をより良く変えていきたいと願う。
主力商品は、松の樹液100%の洗剤『松の力』と、汚れを微生物の力で分解し、浄化する『Dr.BIO』。そして何と!お客さんの「両者をミックスして使用したら効果倍増だった」というアドバイスから開発された『エコブランチ110』。3者ともに、食器洗い、洗濯、掃除など多様途に使え、自然素材なので、下水に流しても安心。大地に還っても負担が無い。「松の力は、ローズマリーを入れてローズマリー・シャンプー(しっとり系)を作ったり、スギナを入れてスギナ・シャンプー(サラサラ系)を作ったりと、お客様が多様に工夫され、楽しまれています」とうれしそうに話す。
「主人と暮らすようになって、健康になりました。」会社にて最愛のご主人と
病弱で入退院を繰り返し、小学5、6年生の時にやっと毎日学校へ通えるようになった子ども時代。魂に沿って生きたいと、ずっと思っていた。「本願で生き、自分の花を咲かせること。それが平和な社会へつながっていくように思うのです。」情熱的に動き続けていた口元が、ご主人とカメラに納まる瞬間、はにかんだ微笑みに変わった。
(浜村良子)
*8月6日(水)の「Risa」(中日新聞に折り込まれる環境情報紙)に、関連記事が掲載されます。























