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バイオマス利用技術で地球規模での貢献を!―バイオマスフォーラム
(2008年7月24日 09:00)

2008年7月8日、NPOバイオものづくり中部の主催により、「東海バイオものづくり創生プロジェクト・バイオマスフォーラム」が名古屋国際センターで開催された。開会に先立って、NPOバイオものづくり中部アドバイザーの藤澤寿郎さんが「環境ビジネスを立ち上げたい人の手伝いをしている。ぜひ、相談してほしい」とあいさつした。

基調講演では名古屋大学大学院工学研究科の成瀬一郎さんが「バイオマス利活用の現状と課題」と題して講演。

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 成瀬一郎さん 

「森林が国土の67%を占める日本(林種別でみると、天然林が55%、人工林が42%)は森林率でみると、フィンランドに次いで世界第2位の森林国。近年、バイオマス資源としての森林資源に注目が集まっているが、森林を産業・環境・教育・生活資源の中心に据えた地域産業・社会システムの再構築が必要」と述べ、荒廃が著しい愛知県新城市や鳳来町で、木質系廃材や間伐材、被害木を含む林地残材の量を調査し、小規模森林資源に適用可能な利活用技術の選定とその実用性に向けての評価を行った結果を発表した。

成瀬さんが“小規模な森林資源”を有する地域に適したバイオマス利活用システムのために構想するのは、3つの核となる施設だ。資源化センター(木質バイオマス資源を新たな物質やエネルギー資源に変換するための施設)、コジェネプラント(木質バイオマス資源から電気および熱エネルギーを併産する施設)、森林資源活用学習センター。これらを通して、熱・電力の地域内自給が可能となり、堆肥化施設があれば、食料の地域内自給も可能となる。また、住宅・木製品生産会社も作れば、住宅・木製品の地域内自給も可能となる。結果的に森林によりCO2が吸収・固定され、一方ではCO2や熱の発生が抑制され、地球温暖化防止に大きく貢献する、まさに、循環型・持続可能な社会のためのビジョンだ。

しかし、「最も厳しい要因は経済性にある」と。新たなエネルギーの利用者が近隣に存在しなければ、このシステムは机上の空論となってしまう。いくつかの自治体で、同様の調査がされているが、施設の建設・運用費用と事業で得られる収益との関係で経済性が見出せず、実現には至っていない。産業界、行政、住民の3者協働が成功の鍵、と強調する。

成瀬さんは、日本のバイオマス利用技術は、地球規模の環境問題に貢献でき得る技術であり、その技術を、バイオマスを多量に産出する他国へ活用すべき、と言う。国際貢献として評価されるとともに、国益とも連動すると確信している。そのためには、地球規模の各種バイオマスに関する詳細データベースの構築と、バイオマス利用技術に関する行列表(バイオマス種と適切な技術、規模との関係など)の整備が急務と語った。

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 服部亮さん

続いて、名古屋大学産学官連携推進本部招聘教授の服部亮さんが、「バイオマス燃料に関する課題」と題して講演した。商社マンとして各国事情をつぶさに見てきた経験から、食料問題に対して「アメリカはもともとトウモロコシがだぶついており、農業保護のためにエタノール政策をとった。ヨーロッパでも農業を維持するために、バイオをやっている」とし、「水田は2~3年放置すると土壌劣化が進むので、日本でも減反せず、将来に備えて資源になり得るものを植えておくもの1つの方法」としながらも、セルロース系エタノールが91%なのに対し、サトウキビ56%、コーン21%という、温室効果ガスの削減率のデータを示し、「食物でバイオ燃料を作っても環境貢献にはならないだろう」と結論づけた。

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 吉澤勝司さん

 岡崎商工会議所岡崎ものづくり推進協議会コーディネーターの吉澤勝司さんは「バイオマスに関する地域の取り組み」と題して講演。平成19年度バイオマスなど未活用エネルギー調査事業に採択され、「畜産バイオマス燃料化調査事業」(蓄糞を従来からの堆肥化でなく、微粉炭の化石燃料にできないか?)を始めたいきさつと、調査の過程を報告した。費用面も含め、事業化までは遠い道のりだが、今後の動向に注目したい。

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 大田克己さん

東海リソース株式会社専務取締役の大田克己さんは、「バイオエタノール製造開発に係る現場から」と題して講演。食物残さから固体醗酵によりバイオエタノールを製造している同社の取り組みについては、後日、製造工程を取材し、詳しくリポートする予定だ。

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質疑応答の場では、「バイオマスは石油の代替となり得るか?」との問いに、「バイオマスは石油を代替する一極集中のものではない。あくまでも地産地消のもの。地域ごとで、風力など他のグリーンエネルギーと複合的に伸ばしていく方向が望ましい」という識者の返答があった。

森林(間伐材など)、畜糞、食物残さ、元となる資源は違っても、廃棄物同様のものを、エネルギーに変換する魔法のような術。この術が、海を超えて人々の役に立つ日もそう遠くないと実感できた。 

(浜村良子) 

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