生ゴミ、畜糞、汚泥などの有機質資源を廃棄処理してしまうのは、もったいない。それらを堆肥にして、安全でおいしい農作物を作ろうという、地域内での持続可能な資源循環モデルを実現した農村がある。CRN(中部異業種間リサイクルネットワーク協議会)が2008年6月26日に行ったエコビジネス・ツアーの午後は、この資源循環のかなめである、コンポストセンターのある滋賀県米原市に向かった。
コンポストセンター、『コンポステーション息吹』は、緑に囲まれた森の中にある。 息吹地域は畜産農家が多く、有機廃棄物が豊富にあるにも関わらず、有効利用されていなかった。そこで、資源利用を望む住民アンケートの結果を踏まえ、畜糞や農業集落排水処理施設からの汚泥、家庭から排出される生ゴミなどを堆肥化し、農地に還元しようという『米原市いぶき元気プラン』を策定。これにより、ゴミの減量化と脱焼却処理によるCO2削減が可能に。また微生物の住む豊かな農地で育てた農作物を市民が消費することによって、市民の健康増進も図れるという、いいことづくめの循環型システムが構築され、計画を実現するための施設、コンポステーション息吹が2007年に作られた。
熱心にメモをとるCRNの参加者たち
堆肥化の流れは、最初に資材ごとにホッパーに投入し、重量を計る→配合設計に基づいて、各資材の必要量を投入し、ミキサーで均一に攪拌→パレット(自動醗酵棚)に入れた資材を238日間醗酵させる→定期的にパレットの資材を投入し切り返す→ 定期的に水分と温度を測定→堆肥中の異物をフルイと磁石で除去→一次醗酵を終えた堆肥を90日間熟成する、という工程だ。全て自動制御、年間約2,450トンの有機質資源(息吹地域対象)を1日あたり4.5トン処理している。
三友機器株式会社が技術提案方式で受注。費用約6億円のうち、国が50%、県が15%負担している。年間の運営経費は約3千万円という。
米原市環境保全課課長の膽吹邦一(いぶきくにかず)さんは、「1年かけていい堆肥を作るという、非常に優れたシステムです。通常、1グラムの堆肥に約1千万個の微生物がいると言われていますが、ここの堆肥にはさまざまな病原菌を退治するバチルス系微生物が数億個もいるというデータが出ています」と誇らしげに語る。生産農家からも、葉色が全然違う、と評判だそう。
住民側は、ボカシ(醗酵促進剤)容器を利用し、週に1度、自治会指定の集積所に設置してあるポリ容器に生ゴミを投入する。生分解性プラスチック製の専用穴あき袋を使用すれば、袋ごと投入できる。現在、参加率は70%~80%という。
堆肥は、公募で「ゆめいぶき」という名がつけられ、その土で育った収穫物は、味覚がよく高品質で安心・安全。学校給食や地元の特売場で消費され、地産地消となっている。
ここでもCRNのメンバーから、添加剤についてなど、多くの鋭い質問が。「米ぬか使用」など、情報を公開する三友機器・安富敏正さんの姿が印象的だった。資源の地域内循環を可能にした産官共同プロジェクト。農村でこのような取り組みが始まったことは、環境問題のみならず、日本の食の未来にも光明を見出す思いがする。午前は廃棄系有機質資源の“消滅化”、午後は“堆肥化”と、両極の処理方法を見学させていただき、とても有意義な一日だった。
(浜村良子)
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