「春の干潟では小さな生き物たちが、一気に命を爆発させるんです」

『こんにちは泡瀬干潟』を出版した小橋川共男さん
泡瀬干潟を守る連絡会共同代表であり、写真家である小橋川共男さんが2008年1月に発行した写真絵本が根強い人気を集めている。沖縄市東部海浜開発事業によるアセス書を無視した埋め立て工事が続けられている、泡瀬干潟や浅海域などの生物や海の風景を収めた『こんにちは泡瀬干潟』だ。沖縄のマスコミで大々的に取り上げられ、大きな反響を得て、那覇市の那覇市民ギャラリーでは写真展なども開かれた。小橋川共男さんに写真絵本を作るに至った経緯を伺った。
――いつ頃から泡瀬干潟に興味を持ったのですか?
2002年1月に泡瀬干潟の観察会に参加したときに、驚いたんです。こんなに豊かな海だったのか!って。正直なところ、それまでは“泥っぽい海だなぁ”という印象くらいしかなかった(笑)。でも、1月で外は寒くても、浅瀬の生物や海草たちは、もう春の準備をして生命に満ちあふれていたんですね。泡瀬干潟って、こんなに生き生きとした世界なんだとびっくりしてね。
――小橋川さんは、1月から3月まで約3か月間、毎日のように泡瀬干潟に通い、写真を撮り始め、2002年4月、『泡瀬干潟 春』という小冊子を発行されました。春の豊かな泡瀬干潟の生物の姿を紹介するとともに、行政側が行った海草の移植現場の実体も写真によって訴えられましたね。
海草の移植のメドがたったからと、工事着工のゴーサインが出たのに、結果的に海草の移植はすべて失敗に終っていた。その悲惨さもそのまま伝えなければと思いました。泡瀬干潟の海草たちは最初は1センチにも満たない大きさなんです。それが春になるに連れて、見る見るうちに成長していく。その植物たちの表情がなんとも新鮮で、それはやはり見ないとわからない。見ることで感動するんです。
――小橋川さんにとって、干潟の魅力とは?
そこに住む生物のすべてが、なくてはならない関係で結びついているということ。観察して見ているとわかってくるんですよね。死んだ貝やサンゴのかけらだって、そこに海藻が付いて芽を出したりしている。干潟にあるもの全てが生物たちにとって役に立つ存在なんです。それが人間にとってどれだけかけがえのないものか計り知れません。
――埋め立てられた土地がどう利用されるのか、計画自体は遁走し、いまだに何が作られるのかも決まっていないまま、埋め立てだけが進んでいると聞きました。計画では人口ビーチも作られるそうですね。
人口ビーチがまだ必要なのかと(笑)。人口ビーチには生物の関係性とかはほとんどありません。人が泳いで、ご飯食べて…、それだけでしょ。自然の多様な命が溢れている干潟のような場所を潰して果たしてそれが人間のためになるのか、考えて欲しいですね。豊かな泡瀬の海が人口ビーチになることで、人間の感性そのものも壊され、小さくなる、僕はそんな気がしてならないんです。

『こんにちは泡瀬干潟』は47ページ、2000円(税込み)
問い合わせ:泡瀬干潟を守る連絡会 098(939)5266
同事務局長 前川盛治さん090(5476)6628まで
(山本和生)






















