「12月にはサンゴの生息地が土砂で埋められる。この機会を逃したら後がない」

泡瀬干潟の問題を告発した、泡瀬干潟を守る連絡会事務局長、前川盛治さん
日本が議長国となる北海道洞爺湖サミット。ここでも大きな課題となるのが地球温暖化の抑止である。しかし、この問題に取り組む日本の姿勢は非常に遅れているのが現実だ。例えば、沖縄県沖縄市の東部に広がる泡瀬干潟の埋め立て問題。世界的に干潟の重要性が叫ばれつつある中で、時代を逆行するかのような目的不明な「公共事業」により、187haの干潟・浅海域を埋立てるという、大きな生態系が失われようとしている。炭酸ガス吸収で大きな役割りを果たしているのは森林だけではない、その点からも、サンゴ礁や海草藻場の破壊は大きな問題といえる。そして、ついに泡瀬干潟を守る連絡会がアクションを起こした。同事務局長、前川盛治さんに話を伺った。
――2008年7月4日、泡瀬干潟を守る連絡会が、沖縄県沖縄警察署長に向けて、内閣府沖縄総合事務局港湾計画課、沖縄県土木建設部、沖縄県知事、沖縄市長を告発したわけですが、その内容を簡単に説明していただけますか?
現在進めている泡瀬埋め立て第一期工事区域には、今でもサンゴ群落・造礁サンゴ類が生きているんです。それらのサンゴの存在を知りながら土砂で埋め、殺そうとしている。これは、沖縄県漁業調整規則の33条の中の「造礁サンゴ類はこれを採捕してはならない」という法律に明らかに違反しています。もちろん罰則もありますよ。そこで、今回はサンゴに焦点をしぼった形での告発となりました。
――今年の4月には事業主の沖縄総合事務局が、これまでは県のトカゲハゼ保全計画に従い4~7月の期間は中断する約束だった工事を、4月下旬から着手し、今後は年間を通して工事する、と発表しましたよね。まったく相談もない独自の判断で関係者は驚いたと思いますが。
この事業を行っているのは国(内閣府沖縄総合事務局)と沖縄県(土木建築部港湾課)です。今は法律が変わり、事業者同志で話しあえばいいという、いわゆる“閣議アセス”といわれる時代となってしまいました。だから本来は干潟の生物を保全する立場にあるはずの環境省も、海草に関してのアセス書の中で移植して保全すると言いましたが、実験的な移植は失敗。そのままうやむやになっています。つまり環境省はたった一回意見しただけなんです。その後、どれだけ希少種や新種の生物が泡瀬干潟で発見されても“管轄外”の一点張りですから。そうこうしてるうちにも、今年の12月には新港地区の浚渫土砂が投入されて、生き埋めにされてしまいますから……。
――つまりこれが最終的手段だと?
この機会を逃すわけにはいきません。護岸で囲まれていますが、中のサンゴはまだ生きています。でも、希望はあるんですよ。それは前回の選挙で、これまで泡瀬埋め立て推進一色だった県議会議員の中に、反対派が大きく増えたんです。これまで推進派だった社民党でさえ、埋め立てに反対しています。反対・見直しの立場の議員が26名にも増えたのです。これはこの泡瀬干潟を守る運動の大きな転機になると我々は考えています。政治の問題となってしまった現状で、希望が見えてきたのも事実です。だから市民の皆さんも決して諦めないで欲しいと思っています。


米軍施設、泡瀬通信施設南に広がる泡瀬干潟(以下すべて2008年7月4日現在)

サンゴ礁の海から工事車両の機械音が響く

仕事場のすぐ横なので、毎日干潟に散歩に来るというIさんによると「工事が始まってか
ら、匂いが臭くなりましたね。魚の数もなんとなく少なくなった気がします」とのこと

次々と土砂を積んだ大型トラックが桟橋を渡っていく。その間隔の短さには驚かされた
(山本和生)






















