地球温暖化などの自然破壊を起こしてきた文化や経済の流れを変え、循環型社会を目指す、アジアの芸術家の環境ARTムーブメント「エコ@アジアニズム」。企画した画家の増山麗奈さん(31歳)をはじめ、作家の皆さんにお話をうかがいました。

間伐材で焼かれた自作の陶芸オブジェ「炎のいのちくんシリーズ」を持つ画家の増山麗奈さん
「エコ@アジアニズム」には、現在日本、韓国、中国の19人の芸術家が参加している。今年1月には、銀座で展示と参議院議員の川田龍平さんを招いてシンポジウムも行った。6月6日から19日までは、韓国の自然美術運動「YATOO」の実行委員である李宣周さんや、ペ・スーヨンさん、森下泰輔さん、東田理恵子さん、本杉美智子さん、石川雷太さんら17名の作家と大阪のgallery at the HYATT IIにて、「エコ@アジアニズムin大阪」展を開催する。
故郷の産廃現場で見た”都会の末路”反戦アート集団「桃色ゲリラ」を主催する増山さんが、環境に興味を持ったのは、妊娠中に故郷の千葉の産業廃棄物の現場を訪問したのがきっかけだった。有毒ガスを生じさせる化学物質や、感染症発生の恐れもある医療関係のゴミも違法に投棄されていた。首都圏から千葉県へと不法投棄された産業廃棄物の量は、およそ東京ドーム88個分。日本の約3分の1の産業廃棄物が、故郷に投棄されたまになっているという事にショックを受けた。周囲の土壌汚染もひどい。これからの子ども達が暮らす社会は、こんなにおぞましいものなのだろうか。

千葉県市原市の産廃不法投棄の現場に立つ増山さん(妊娠時)
「通常、商業アートの世界では、絵を買う経済界に問題定義をする作品は好まれません。しかし、次世代に向けもっと美しい世界を作るアートムーブメントを起こしたいと決意しました」と増山さん。
故・黒川紀章アスベスト建築にアンチを唱える
増山さんの元に問題意識を持ったアーティストが集まった。現代美術家の森下泰輔さん(56)もその一人だ。森下さんの所有する故・黒川紀章氏の建築した中銀マンションの一部屋に、発がん性物質であるアスベストが大量に使用されていた。アスベスト問題を報道した週刊新潮に対し、黒川氏は死の直前まで告訴を続けたが、2007年最高裁で黒川氏の敗訴が認められた。「黒川氏は、日本の現代アートの頂点である国立 新美術館を建築し、美術界の権威として環境との共存を訴えていた人物でした。エコとアートのトップが、“命を殺すデザイン”を作り、それが評価されてきた。ひょっとすると、高度経済成長期に作られたすべての芸術を一度否定すべきではないか。」と森下さん。環境や人を“殺す表現”ではなく、“生かす表現”を。増山さんと森下さんの呼びかけで「エコ@アジアニズム」がスタートした。森下さんはアスベスト問題を訴えるユニークなインスタレーションを展示する。
制作過程にもこだわりを。間伐材で燃焼させた陶芸オブジェ
大阪展の開催に向け、素材にこだわり、作品を作り上げる過程も改めて意識した。増山さん、東田理恵子さん(28)、李宣周さんの3人の作家は、山梨の増穂町にある、画家の故・池田満寿夫さんのプロデュースした「増穂八方釜」で間伐材を燃料に使った陶芸を制作した。1200度の高温で燃え上がる2メートルもの炎と格闘しながら、間伐材の薪を釜に入れていく。睫毛が溶けそうなほど熱い窯で、作家同士の一体感が生まれた。

巨大な炎と格闘する東田理恵子さん。タオルやサングラスで防御しても、暑い!画家の東田理恵子さんは、炎をテーマにした新作の絵画作品を制作した。(写真下)「炎が生きている、と初めて感じました。スピードは違うけれど、人間だけではなく、火も、水も、木も生きているんだと」。
東田理恵子作「炎」
「都会には土が無い。全部コンクリートで覆われている。土に触れる事の大事さを陶芸で土をこねながら感じました」と韓国の李宣周さん。李さんの韓紙を用いたインスタレーション(写真下)は、素朴な大地の匂いを感じさせる。
李宣周作「NATURAL」
満寿夫八方窯での模様は本杉美智子さん(32)の監修したドキュメンタリー映像で会場でも公開される。上海在住の中国人である牛安(にゅうあん)さんは、増山さんと共同制作を行い”エコロジーの女神像”をキャンバスに描き上げた。深沢修さん(59)による手漉きの和紙アート作品は暖かさを感じさせる。中村均さん(28)は、温暖化をテーマにしたCGアニメを制作。ポップなテンポでドミノ倒しに倒れていくペンギン達に、地球温暖化で絶滅してゆく生物の姿を重ねた。(写真下)石川雷太さん(43)は “サリンをはじめとする化学兵器・生物兵器”をテーマにしたTシャツのシリーズを展示し、遺伝子操作によって生まれた招かれざる生物をも作り出す人間の欲望とエゴを問いかける。スズメラウンジ制作のオーガニックコットンと伝統木綿、無漂白・無化学処理ネル生地を使った布ナプキンやエコバッグも販売される。
中村均/水谷かおりCG作品
「エコ@アジアニズムのロゴマークには、アジアから世界へ、アートを発信していくという意味も込めました」と増山さんは語る。「現在の様な大量生産・大量消費型の資本主義社会の限界は、地球温暖化や、ピークオイル、食料危機など様々な面で明らかです。文化も西洋からアジアへと輸入されてきました。しかし、産業革命以前、アジアでは自然の恵みを受けながら人々が暮らし、土着的で原始的な表現を作っていました。エコ@アジアニズムは便利さの陰で忘れてしまっていた“懐かしい未来”へと向かう旅でもあります。この展覧会を通じ、さまざまな問題を考えるきっかけをつくり、これからの時代をサバイバルする活力を届けたい」
(写真・文 志葉玲) 増山さんの企画する「エコ@アジアニズム」展は6月6日から19日まで、大阪のallery at the HYATT IIにて開催される。詳細は以下
http://www.gathp.com/
http://renanews.exblog.jp/7278835/
作家紹介↓
http://www.gathp.com/kohbo2008folder/ECO@ASIANISM.html






















