「安心と安全」にとことんこだわり、水と石鹸だけでクリーニングをする「クリーニングハウス MU(ムー)」の高見明美さんを、兵庫県加西市に訪ねました。
高見明美さん
“ドライ液”から“水と石鹸”へ
ムーは、北海道から沖縄まで、全国でアトピーやアレルギーに悩む人の救世主のようなクリーニング屋さんです。
平成元年の開店当初はドライクリーニング店として出発しましたが、ドライ液が身体に良くないことをわかっていた高見さんは、自身も手荒れや頭痛に悩まされながら「身体に良くないクリーニングではお客様に申し訳ない」「環境にも負荷をかけてしまうのでは」と考えるようになりました。しかし一方では「ドライクリーニングをやめてやっていけるのか」と、思い悩むこともありました。
そんな折、創生水(そうせいすい)という洗剤の要らない水があることを知った高見さん。水道水を通して蛇口からたっぷり使うことができるので、「この水を使えばやっていける。自分の気持ちに正直になろう!」と、思いきって水を使ったクリーニングを始めました。今では水道水を自分で工夫し、マイナスイオンがいっぱいの還元水にして使っているそうです。
水クリーニングの工程
まず洗濯物を受け取ると、お客様ごとにカルテを作ります。
その後、1)前洗い。大物、手洗い、染み抜きなどに分ける 2)本洗い。洗濯機で洗う。毛布などの大物は水洗機を使用 3)乾燥。生地の縮み・痛みが少ない“自然乾燥” 4)蒸気を利用して荒じわをのばした後、一着ずつ手でプレス・アイロンで仕上げる 5)検品・包装・発送
プロの技
今回取材をさせていただき、“さすがプロ”と感じさせる数々のお話がありました。例えば、最近の衣服はいろいろな素材からできていますが、高見さんは品質表示を見なくても触った感じで衣服の素材が分かるそうです。そのうえ、こすり方、絞り方、丁度よい脱水時間までも判断できるといいます。
また、首の環の汚れは、一般のクリーニング屋さんは薬剤で落とすそうですが、ムーではこすって石鹸で落としています。汚れがひどいときは4時間もこすり続けることがあるのだそうです。
“糊”へのこだわり
ドライクリーニングをやめてからも、高見さんはしばらくの間、化学糊を使っていたそうです。ところがある日、糊が流れ込んだ排水溝の中でドジョウがもがく姿を見てしまってから、化学糊の使用をやめたと言います。そして昔ながらの“ふのり”や“でんぷん”などいろいろなもので試してみた結果、今はトウモロコシの粉でできた糊を使っているのだそうです。
「糊炊き3年」という言葉があるほど、“糊”は作るのが難しいものなのだそうです。それでも高見さんは毎朝“糊”を炊き、衣類の素材に合わせて濃度を調節しながら、大切に使っています。
ムーは狭いスペースながらも設備が整っており、さながらクリーニングの“工房”のよう
今後について
現在、ムーで働くパートさんは3名。洗濯枚数は1日平均200枚、月3000枚程度。しかし水でクリーニングをすることは、誰にでも簡単にできるものではありません。高見さんは、これまで研究所の立ち上げやチェーン展開などに積極的に取り組んできました。今後、ドライクリーニングの身体への影響を伝えていくことと、高見さんの後継者の育成を課題にしながら、より一層努力していくそうです。
(大林 輝)
クリーニングハウス MU(ムー)
http://www.cleaning-house-mu.jp




















