名古屋堀川ライオンズクラブは創立5周年を記念して、「甦る堀川をめざして」と題し、松原武久名古屋市長による基調講演とパネリストによるシンポジウムを2008年4月12日(土)、名古屋市東区のテレピアホールで開催した。会場は立ち見も出るほどの盛況ぶり。市民の堀川に対する関心の高さがうかがえた。
堀川は、名古屋市の中心部を流れる16.2キロの人工河川。堀川誕生のルーツは、名古屋市の街づくりと重なる。1610年、徳川家康は、清須城が手狭になったため名古屋城を新たに建設し、清須(現在の愛知県清須市)から町ぐるみで名古屋の地に移転したが、名古屋城築城の資材運搬のために作られたのが、堀川だ。
かつては清流だった堀川を昔の美しい川に甦らそうと、名古屋市も浚渫(しゅんせつ)などの努力をしてきたが、それを大きく後押ししたのが、国の環境基準で水質Aランクの木曽川から水を流すことが浄化の決め手と信じ、ライオンズクラブが行った「堀川を清流に!」の20万人署名運動だった。松原市長は「法律上では、利水として水道・農業・工業用水しか認められていない。浄化のための『環境用水』という目的で水を引くことは、困難を極めたが、この署名活動が原動力となって国を動かした」と語る。
2007年から3年間の期限付きで開始された木曽川からの導水実験で、堀川は徐々に浄化されつつある。「堀川へは毎秒0.4トンを年に265日くらい通水している。上流地域の利水面、また木曽川の生態系維持を考慮して通年とはなっていないが、これを通年にし、法的に認められるようにもっていきたい」と目標を掲げる。木曽川の水源林(長野県木祖村)にどんぐりを植えるなど、森を守る活動も紹介。建設予定の木造校舎で、間伐材使用の机と椅子を設置する計画や、開府400年を記念した名古屋城本丸御殿の復元に木曽檜を使用するなど、水と森林との関係にも触れ、「清流とまではいかないが、たまに鮎の姿もみられるようになった。これ以上堀川を汚さない、という市民の意識が大切」と述べた。最後は、堀川周辺をメイン舞台とする名古屋オールロケの大林宣彦監督による映画製作の話で結び、名古屋市民全体で盛り上げるため、エキストラなどでの協力を呼びかけた。
左から、富永晃宏さん、甚目裕夫さん、野原秀雄さん、高木麻里さん
後半のパネルディスカッションでは、東海テレビの中村昌秀キャスターの司会で、パネリストたちが堀川浄化への思いや活動の現状を意見交換。河川工学の専門家、名古屋工業大学の富永晃宏教授は「浄化には時間がかかる。バイパスを作るのが良策だが、まずは遊覧船を頻繁に走らせるなど、積極的に川を利用することから始めては」とアドバイス。それを受けて、NPOゴンドラと堀川水辺を守る会の高木麻里さんは、「昔の写真では、子どもたちが堀川で泳いでいる。道端に捨てられたゴミが雨水で川に流れ込むことが多いが、周辺住民は、もっと、素晴らしい場所に住んでいるという自信を持って意識を高めてほしい」と語る。また水のスペシャリストでもある、株式会社三協の代表取締役野原秀雄さんは、「日本では飲める水をトイレに使うような、もったいないことをしている。限られた水資源をもっと大切に!堀川浄化には、市民が一回でも多く足を運ぶことが重要」と述べた。株式会社チェントロリリカ、音楽プロデューサーの甚目(はだめ)裕夫さんは、「あるところでは、薪能、別のところでは、ジャズ、クラシックというように、古いものと新しいものが調和し、違った表情を見せる堀川の風景が理想」とし、「堀川をテーマとする映画ができるのは、またとないチャンス」と今後の展開に期待をこめた。
(浜村良子)





















