「100万人のキャンドルナイト」「ほっとけない世界のまずしさ」など、市民運動の様々なキャンペーンの成功を演出してきた、広告メディアクリエイティブ「サステナ」代表(東京都渋谷区)のマエキタミヤコさん。1月末に、20年間勤めた広告代理店を“卒業”するという。今後は、大学でNGO広告戦略論などを教えながら、サステナの仕事により一層力を注ぐというマエキタさんに、これからの夢を聞いた。
── これから一番したいことは何ですか?
社会の様々な問題についての情報格差をなくしたいです。情報格差をなくすことで、メディア改革と政治改革ができると思うから。
具体的には、ミーハーなインディーズメディアをつくりたい。インターネットのNGOテレビで、美人ニュースキャスターが、マスメディアに乗らないニュースを読む。そんなメディアがつくりたいなぁー。
たとえば、六ヵ所村の核燃料再処理工場が今、どんなものを外に流しているのか。公表されているデータはあるのに、流れないのはナゼ、と思うんです。
ジャーナリズムの分野では新人ですが、言いたいことを言うメディアをつくりたいのです。

情報格差をなくすためにメディアを始めたいというマエキタミヤコさん
── これまでNPOの広報のサポートをしてきたマエキタさんが、ジャーナリズムに関心を持ったのはなぜですか?
「社会的な広告をクリエイティブにつくるとおもしろい」ということはみんな分かってきて、やりたい人も増えました。「エコはおしゃれでいい」「ミーハーなことを後ろめたく思わなくてもいい」ということは伝えられたと思います。でも、一方で「なぜメディアは問題を伝えないのか」というナゾが深まったんです。
伝えないのか、伝えようとしているのに伝わらないのか。いずれにしても、社会問題とニュースが相似形でないのです。
メディアは民主主義のバランスを取るための血液のようなものだから、滞りがあると、そこが壊死する。血液が滞って肩こりみたいになったのが、社会問題です。私は「血液がなぜ滞るのか」「滞らせないためにはどうすればいいのか」に興味があるんです。
── これまで手がけてきたキャンペーンのような柔らかな方法は続けるのですね?
それは変わりません。ただ、取り組むテーマの難易度がちょっとずつ上がっているかもしれないけど…。

サステナの事務所には、特大のキャンドルも
たとえば、最近、政党と政治についていろいろ考えています。
「政党政治」と、そこから「政党」という言葉を引いた「政治」は本来違うはずですよね。でも、みんな政党政治に慣れすぎて、本当の政治って何だったのかが忘れられていると思います。政治家は本来は志の高い人のはずですが、そうは見られていない。その原因をたどると、何か誤解があると思います。誤解は情報の滞りによって起こる。よかれと思って悪いことをしているというか、何か気持ちが空回りしている感じがします。
また、無関心層がたくさんいるといいますが、私は、そういう人たちが本当に無関心層だとは思いません。私の経験則から言って、その人たちは何かを訴えていると思う。でも、それを受け止める仕組みがないので、無関心と十束ひとからげに扱われているんです。
政治の世界では、マーケティングの技術が遅れている気がします。そのために、みんなあまり政治を有効活用していないんです。本来、政治に関心を持つというのは、「一人一票という圧倒的な平等の中で社会の行く末を判断する」という仕組みのユーザーになるということです。
そのためには、知る権利をきちんと使わないといけない。何かを知れば、「そうか、ちゃんと知らないといけない」と思って、他のことも知ろうとするという好循環が始まる。知らなければ、知ろうとせず、より知らないことが増えていく。
こういうことをしていると社会問題のデパートみたいになってきて、どこまで行けるか分からないけど、崩しがいはありますよ。最初はちょっとだけど、そのうち壁が破れてドーッと吹き出るというイメージです。

様々な依頼が殺到し、多忙を極める毎日
今取り組んでいる六ヵ所の問題も、みんなが本当にいいと思っているならともかく、知らないで進んでいることがおかしいと思うんです。やはり情報格差があるんです。
私がやりたいことをひと言で言うと、やはり「情報格差をなくしたい」ということです。情報格差がなくなれば、メディア改革も政治改革も自然に起こる。自然に起きていくスピードで変化を起こしたいと思っています。
(安在尚人)























