2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知・名古屋開催がほぼ決定したことを受けて、ホストNGOが設立に向けて動き出しました。その中心的な役割を果たすであろう、国際自然保護連合(IUCN)日本委員会・副会長(4月から会長)の吉田正人さんに話を聞きしました。
吉田正人さん(江戸川大学教授でもある)
― 生物多様性条約COP10がほぼ決定しましたが、どんなことを期待しているのか聞かせてください。
生物多様性条約では、2010年は大変重要なタイミングです。2010年を目標にして保護地域のネットワークをどう作るかとか、ポスト2010年の目標をどうするかなど、非常に大事なことを決める会議が日本で開かれる訳ですから、すごく期待しています。
― 2010年目標の次の目標は、どんな目標になるのでしょうか?
2010年目標の次に念頭に置かなくてはならないのが2015年目標です。これは、生物多様性条約とも深い関連があるもので、「国連ミレニアム開発目標(MDG)」と呼ばれ、貧困の撲滅と持続可能な開発の実現を目的としています。それには、生物多様性の保全と持続可能な利用という考え方をすべても国の政策に組み込んでいかなければなりません。特別な保護を必要とする動物とか地域の問題だけではなく、2015年までに持続可能な社会を達成するにはどうすればよいのかを話し合う会議になると思います。
― それを達成するためには、日本のNGOとして、あるいは世界のNGOとしては、どんな主張をしていけばよいと考えていますか?話し合われていますか?
ポスト2010年目標まではまだ十分に話し合われていませんが、、持続可能な生物資源の利用という点については会議で様々な議論が行われています。しかしこの話になると、たいてい国益がぶつかって・・・。クジラの問題や熱帯雨林の問題などで、必ずといっていいほどぶつかります。それをいかに調整していくかが一番難しいところです。
生物多様性COP10・NGOフォーラムであいさつする吉田さん
― 日本という国で、生物多様性条約COP10が開かれる意味はどんなところにあると考えていますか?
まず、東アジアでの開催ということも意味があると思います。さまざまな国際会議で東アジアでの開催はいつも最後になるのです。ヨーロッパやアメリカが最初で、次はヨーロッパやアメリカが支援をして守りたい資源を持っているアフリカや南米で開くということになります。東アジア、特に日本などは支援されるという立場ではないので、いつも最後になってしまう傾向にあります。COP10ですから10回目ですよね。10回目になってようやく東アジアで開かれることになった訳です。日本での生物多様性への認識は遅れています。気候変動枠組条約会議(COP3)は1997年に京都で行われて、京都議定書として国際的に有名になり、皆さんが使うようになりました。気候変動=地球温暖化防止は企業の環境的な取り組みの筆頭に挙げられます。それに比べると生物多様性は、何をやったらよいのか分からないなどと言われて重要性が認識されていません。日本でCOP10を開催することによって、生物多様性の問題をもっとより身近に感じてもらうことが必要です。自分達の食べ物は地産地消ではなく、遠くの農地や海から運ばれてきている。それが地球温暖化にもつながるし、熱帯林の破壊にもつながっているのだ。そういった認識を日本人が持つきっかけになると思うのです。
― たまたま、重要な会議のタイミングになっていますね?京都の気候変動枠組条約COPに匹敵するくらいの重要な会議になりますか?
そう思います。ポスト2010年目標を決める会議ですからね。
― 中部で開かれる意味はどうですか?
市民参加で行われるという点でも、ものづくり企業の参加という点でも意味があると思います。もうひとつは、中部というのは意外なことに、ちょっと行くだけで海や山がある。自然が残っています。大都市で開かれる会議だけれども、比較的身近なところに生物多様性がある。かけ離れたところで生物多様性を考えるのではなく、身近に感じながら会議を開く。いいロケーションではないかと思っています。今日(2008年3月16日)の生物多様性COP10・NGOフォーラムで決議された「ホストNGO」の設立は、ドイツよりもずいぶん早いです。ただ、日本のNGOは国際会議の参加経験があまり無いので、早めに勉強するという意味でもよかったと思っています。
(聞き手:安在尚人、構成・写真:伊藤剛)
IUCN日本委員会:http://www.iucn.jp/























