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企業人・都会人に元気になってほしい ― 「ロハスビジネス」の著者・水津陽子さん
(2008年2月26日 00:00)

20082月に「ロハスビジネス」(朝日新書)を大和田順子さんとの共著で出版された水津陽子さん。ロハス(LOHAS)とは、Lifestyles of Health and Sustainability。直訳すると「健康と持続可能な社会を志向するライフスタイル」、ロハスは、2005年に新たな消費スタイルとして注目され、今や、4人に1人はロハス層といわれています。ロハスビジネスは、健康や環境意識が高く本物志向の新・消費者層の心をつかみ、付加価値性や収益力の高いビジネスの可能性を広げ、また社会の変化に対しても影響力があるということについて、わかりやすくお話いただきました。

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――ロハスビジネスってどういうものなのですか?

ロハスビジネスには、「健康的な生活様式、環境に配慮した生活様式、代替医療、自己開発、持続可能な開発」の5つの分野があります。ロハス層は、できるだけ健康や環境に配慮した商品サービスやそうしたことに配慮した企業を支持します。農薬や化学物質を使わない食べ物、住宅、エネルギー、医療やまちづくり、自分を高めるプログラムなど、ほぼすべてのビジネスはロハスビジネスのテリトリーに入っています。

これまでのビジネスは経済優先、安く大量に供給するものが勝つビジネスでした。しかし、今、グローバル経済の中、価値観は多様化し、人口減少で市場は縮小しています。これに対抗していくには、企業は発想を変え、きちんとした戦略性を持ち、進んでいかなくてはなりません。そして、そのビジネスの発想、戦略性がロハスビジネスの中にあります。

ロハスビジネスの横軸は、企業の持続可能な発展であり、縦軸は社会の持続可能性です。企業が利益だけを追求する時代は終わり、CSRなど企業の社会貢献が新たなビジネスや企業価値にもつながっていく時代です。

たとえば、2006EUで最も高い生産性と競争力があると評価されたデンマークに昨年行ったのですが、彼らはグローバル化の中で勝ち抜くため、「共生社会」という戦略を持っていました。日本とデンマークをデータで比較すると、その生産性と競争力の差が浮き彫りになります。たとえば、GDP(国民総生産)で見れば、日本はデンマークのはるか上にいますかが、国民一人当たりで見ると、デンマークは6位、日本は17(IMF2006)。国民の幸福度ではデンマーク1位、日本は90位。(英レスター大2006)。しかも、労働時間を見ると、日本はデンマークより年間264時間も長く働いています。このことは、豊かだと思われている国が実は豊かではないことを表していると思います。

先日、ある経済団体さんが、高コスト時代、企業はどう戦っていけばいいのか。北欧の取り組みに学びたいということで、お話に行きました。その時、お話したことが、①ロハス的なビジネスの視点、つまり、今、何が価値であり、ビジネスを生むのかという企業側の価値観の転換を図ること、②ビジョンと戦略性、それを統合した③バリューベースの経営手法でした。そして、実は、この3つともロハスビジネスの考え方そのものなのです。

企業が経営のあり方を変えるのは、最初はやはり勇気がいります。しかし、いろいろ考えて、「やっぱりこれしかない!」と、最初は小さなチャレンジでも、勇気を持って取り組み、手応えを得る。小さな成功体験が、徐々に企業をステップアップさせ、そのうち企業を大きく変えていく。経営者も社員も、自分たちがやっているビジネスが、収益も生み、かつ、社会も良くしていく。自分自身もやっていて気持ちいいし、実は経済合理性もある。それで製造から販売まですべてを見直していく。そういうことだと思います。ロハスビジネスは、今後、企業が生き残っていくために必要ビジネスの視点であり、企業のあり方を大きく変え、また成長させていくビジネスのあり方なのです。

――ロハス×ビジネスということはかなりの広がりがあるという風だとわかりました。では、ロハスビジネスが地域を活性化するとはどのようなことなのでしょうか?

ロハスの視点には、「ファストフードからスローフードへ」、「輸入食材から地産地消へ」、「海外での団体買い物旅行から農業体験などグリーンツーリズムへ」などの流れがあります。これらはすべて地方にあるロハスキーワードである地域の資源が活用されて起こっていることなのです。ロハスビジネスが目指しているのは、都市と地方が共生するビジネスモデルです。

また、いまある地域で提案しているのですが、ロハス的な視点で、「バイオリージョン(生命地域)」「パートナーシップ(連携協働)」というものがあります。これまでの地域再生は都道府県や市町村など、行政区割で考えていて、自然や文化、歴史といったようなものを基礎にはしていません。しかし、地域資源を活用して、地域ブランドを創っていくとき、本来の価値(バリュー)に基づいた地域再生を考えていくべきです。地域再生にもバリューベースの経営の手法を入れ、新たな価値創造から、各地域に産業や雇用を生みだしていこうとしています。

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――「ロハスは人々や社会を元気にする」そういう要素があるように思いました。今後ロハスビジネスを、水津さんがやられている「ロハス起業塾」などを通して伝えていかれると思いますが、メッセージはありますか?

私の役割は、全ての社会・経済活動を、ロハスにしていくロハスビジネスを広めることです。具体的には、どうやってロハスビジネスをはじめたらいいのという「ロハス起業塾」や「ロハスビジネス塾」がありますが、その他に力を入れていきたいと思っているのが、ロハスビジネスの企業・地域のリーダー育成です。ロハスビジネスにおける、ビジョンや戦略、バリューベースの経営はもちろんですが、もっとも重要なことは、ホリスティック(全体的)な視点を持つことです。これは企業や地域を導いていく優れたリーダーに不可欠な視点です。

ロハス起業塾では、ロハスビジネスを一緒に書いたロハスプロデューサーの大和田順子さんと、国内外の事例紹介やマーケティングの紹介、ロハスビジネスの発想法やロハスビジネスのはじめ方を伝道し、ロハスビジネスを目指す人たちのサポートをしていきます。 

たとえば、都市居住者のサラリーマンの男性が、都市に自然やコミュニティを取り込んだ共同スペースをつくって運営するコーポラティブハウスビジネスとして考えたりしています。そういうアイデアを人前で話すことも大事な一歩です。参加者からもいろいろなアイデアが出てきます。話すうちに、自分の中でも新たな役割とか可能性の発見があったりします。そうしてみんなが自分らしく生きることを考えて、元気になってほしいと思っています。

(記事:佐藤直樹/写真:蛭田有里子)

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