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海の“生物多様性”を守る市民の活動 ── 志摩半島野生動物シンポジウム 第10回記念大会
(2007年10月29日 12:30)

 2007年10月27日(土)、三重県松阪市の中川コミュニティセンターで「志摩半島野生動物シンポジウム」が開催されました。主催は志摩半島野生動物研究会と三重大学ウミガメ・スナメリ調査・保全サークル「かめっぷり」。


[表浜海岸の砂浜再生について語る田中雄二さん]

開催10回目の記念大会となるこのシンポジウムのテーマは、「里海の生き物たちは今」。三重県内外の研究者や学生・市民活動家などから、里海に棲息する動植物の現状や里海環境の保全活動など、幅広い内容についての発表がありました。


[志摩半島野生動物研究会代表の若林郁夫さん]

「長年の調査活動から分かったこと」と題された特別講演は、元三重大学教授の粕谷俊雄さんと日本ウミガメ協議会会長の亀崎直樹さんが、それぞれスナメリとウミガメについて講演しました。


[瀬戸内海のスナメリについて発表する粕谷俊雄さん]

粕谷さんによると、スナメリは瀬戸内海に棲息する唯一の哺乳動物ですが、棲息頭数は20~25年前と比較すると全域で1/3ほどに減少しています。
減少の原因は、埋め立てや護岸、砂利採取などによる棲息場所の減少、海域の化学汚染、そして混獲などの漁業事故などが挙げられます。しかし、混獲については実態調査がほとんど行われていないのが実情で、必要な対策を講じるためにも今後の調査・研究が必須であると粕谷さんは警鐘を鳴らしました。


[市民によるアカウミガメ調査活動の役割を語る亀崎直樹さん]

一方、アカウミガメの実態を知るための上陸・産卵調査は、1950年に徳島県で中学校教師が始めたのを端緒に、以後、全国各地で市民による調査活動が行われています。
また近年では、サーファーなどに呼びかけて、携帯電話の写真メールでウミガメのストランディング(漂着した死体)の情報を集めるなど、新しい活動に期待が寄せられていると、亀崎さんは語りました。

人と自然が共存してきた“里海”は、しかし、高度経済成長以降、埋め立てや護岸、水質汚染などで急激に環境が変化してきました。行政や大学などの研究機関の活動だけでは、こうした変化の実態をすべて把握することはできません。次の世代への責任としても、市民と協働した研究・保全活動が今後ますます活発になることが望まれます。

(原野スキマサ)

志摩半島野生動物シンポジウム 第10回記念大会◎セッション1「三重の里海からの現状報告」
・伊勢湾北中部の里海(岡本慶@三重大学ウミガメ・スナメリ調査・保全サークル「かめっぷり」)
・志摩半島の里海(若林郁夫@志摩半島野生動物研究会
・七里御浜の今昔(花尻薫@熊野の自然を考える会代表/熊野古道センター長)
・伊勢湾の干潟と藻場の現象(丸山拓也@ 三重県科学技術振興センター水産研究部◎特別講演「長年の調査活動から分かったこと」
・瀬戸内海のスナメリで見たこと:里海にしのびよる危機(粕谷俊雄@元三重大学教授)
・市民の調査活動が明らかにしたアカウミガメの生態(亀崎直樹@日本ウミガメ協議会会長)

◎セッション2「里海各地からの活動報告」
・大阪湾沿岸の生物と環境再生の取り組み(鍋島靖信@大阪府環境農林水産総合研究所
・大阪湾におけるスナメリの生息状況について(神田育子ほか@大阪コミュニケーションアート専門学校)
・浸食と人工化する海岸(田中雄二@NPO法人表浜ネットワーク
・伊勢湾のシギ・チドリ(平井正志@日本野鳥の会三重県支部
・英虞湾再生の取り組み(原条誠也@英虞湾再生コンソーシアム幹事長/国分秀樹@三重県科学技術振興センター水産研究部
・干潟と河口域の貝の現状(中野環@三重自然誌の会
・志摩地区沿岸における外来植物駆除の取り組み(半田俊彦@ 志摩半島野生動物研究会

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